発売は1986年。
ファミコン向けの完全オリジナル作品ですが、
パックマンやゼビウスで一世を風靡したナムコの勢いが、
まだ残っていた頃の作品です。
ジャンルとしてはアクションパズル。
L字型の石を積み重ねて、出口への鍵を手に入れ扉までの道を開く、
というのが基本的な流れです。
ステージは全64面で、1ステージは縦スクロールの2画面分。
広さを感じさせる空間の中、
時にビックリするくらい面白い動きを見せるL字型の石を操り、
敵をやっつけ、頭をひねって出口までの道をつけてゆく。
この作業はとても楽しいものでした。
8面ごとに訪れる壁画の間のシーンでは、
特定の操作コマンドを入力することで、隠された絵を発見します。
その8枚の壁画を順番通りに並べると空中庭園への道が開かれ、
めでたくそこに至ってゲームクリアー、というのが基本的な流れ。
かの名作「ドルアーガの塔」に一脈通じるものがありますね。
当時の大ヒット映画、インディ・ジョーンズをモチーフにした
雰囲気作りも高いレベルで成功しており、
古代の謎めいた雰囲気と、コミカルな楽しさが同居しています。
ステップを踏むような軽快なBGMは必聴のデキです。
そのデキのよさと裏腹に、リアルタイムでの評価はあまり高いものではありませんした。
ほぼ同時期にドラクエが登場し、ゲームの世界はRPG全盛の時代を迎えようとしていた頃。
パッと見に新味を感じさせないこの作品は、当時大して話題にもならず、
埋もれてしまった感があります。
しかし今も根強いファンを持っているのは、
そのオリジナリティに溢れ、かつ丁寧な作りがきちんと再評価された証でしょう。
この後、ゲームの世界は大容量化とRPG全盛の時代を迎えます。
コンパクトな中に発想をギッシリ詰め込んだアクションゲームを
得意としていたナムコにとってはいい時代とは言えず、
この後は黄金期の輝きを徐々に失ってゆきます。
この「バベルの塔」は、初期のナムコらしいセンス溢れた最後の一本だと思います。
いつまでも手元においておきたい作品。