~元資生堂のグラフィックデザイナーにして居酒屋評論家、太田和彦氏の居酒屋紀行。朴訥な人柄の彼が、どちらかというとひなびた、庶民的な居酒屋を紹介している。熟年の太田氏は、口ひげをはやし、黙っていると一見苦みばしったいい男なのだが、訪れた場所のご当地ソングをいきなり口ずさんだり、自分の親父ギャグにひとりで笑ったりと、ちょっととぼけた味が~~ある。酒や料理の評論をする時も、妙に文学的で抽象的なことを言うので、お店の人が引いてしまったりして可笑しい。
~~
ヘンな話だが、彼はいつもちょっと喉がいがらっぽいらしくて、よく咳ばらいしている。そこに冷えたビールや地酒を流しこんでいる様子を見ると、こちらまですっきりと爽快な気分にさせられる。よくビールのポスターにきれいな女性の写真が使われているが、太田氏が飲んでいる姿を見るほうが、よほど飲みたくなる。
~~
スカパー!放映分では、居酒屋だけでなくバーも紹介されている。カクテルにも一家言もっていて、初めての店では必ずジントニックで小手調べをする。番組の最後は、太田氏の「もう一軒行ってみましょう」と言いながら、飲み屋街に消えていくうしろ姿で終わるのだが、番組中で一番楽しそう。根拠はないけども、そこはかとなく女性好きを漂わせている彼が向かう~~先はいったい…。そんな余韻も残していて楽しい。~