このたび、まさに待望していたDVD-BOX
Complete Opera & Concert Dvds on Deutsche Grammoph [Import
]が出るけれど、すでに単品で何枚か持っているからどうしようかなあ、と思っていました。久しぶりにこのDVDを取り出して、プレイヤーにセットしてみたわけです。結論から言いますと、最初から最後まで一気に3回通してリピート鑑賞し、感動のあまり半泣きになりながらそのままポチッとDVD-BOXを予約注文しましたとも。
このベートーヴェン交響曲の4番と7番の収録は83年10月。クライバー53歳。指揮者としてはおそらく脂が乗りきっていた時期だと思います。DVDとはいえ圧縮されていない音質(できればCD鑑賞と同じレベルのオーディオセットで聴くことをオススメ)が素晴らしいですし、コンセルトヘボウの舞台(もちろん客席も)の熱気がダイレクトに伝わってくる美しいカメラワークも、これ以上ありえないというほど完璧。
たいていオーケストラのプレイ映像って、舞台の全体や音を出している奏者の様子を順番にカメラで映していくのが普通だと思いますが、クライバーの指揮があまりに見事で、カメラはひたすら指揮者に吸いつくように撮影しているという印象。もちろん、コンセルトヘボウの(特に管楽器)メンバーたちの「音が見えるような」演奏もきちんと見せてくれてはいますが、見れば見るほど「音楽そのもの」になりきっていくようなクライバーの凄いことと言ったら!
流麗で力強く、しかもあの笑顔。わかりやすく、美しく、歌心と色彩感にあふれた指揮。目には見えないはずの音楽というものを、そのまま結晶化し、生々しく体現してくれる。ああ、あんな人がこの世に存在したんですね。
4番は楽章ごとに何かが天国近くへと次第に昇りつめていくようです。7番はうねるようにして、クライマックスへと盛りあがっていき、陶酔と熱狂が聴衆をどんどんと巻きこんでいくのが手に取るように伝わってくる。特に終楽章の緊張と、圧倒的な迫力。顔を上気させて、少し喘ぐようになりながらも切りこんでいくようなタクトを見せつけるクライバー。あれはもう、神懸かっているといっても過言ではない。ともかくオススメ。久々に感動のあまり泣きました。