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羽海野チカの原作コミックは、老若男女幅広いファンを獲得しているが、そうした原作ファンも大いに納得かつ満足できること太鼓判のアニメ・シリーズ。
コミック「ハチクロ」の持ち味は、その青春群像的なドラマと、もどかしい恋模様の描写の合間に炸裂するギャグの切れ味の良さ、筆者がいたずら書きっぽく描いたちょっとしたワンポイントだったりする。実はこのワンポイントに、登場人物たちの本音やシビアな状況描写などが込められているのだが、アニメ版のスタッフは、こうした作品の構造を熟知した上で、原作を忠実に映像化し、見事に成功を収めた。ここまで原作コミックとアニメのイメージ・ギャップがない作品は、近来まれではないだろうか。アニメ化を喜び、スタッフや声優たちと積極的に交流した原作者の姿勢もまた、多大なる精神的貢献を果たしたことだろう。
アニメ・シリーズならではの特徴としては、随所に流れる音楽の存在を上げたい。主題歌、エンディングテーマ、そしてスピッツ、スガシカオによる挿入歌も含め、個性豊かな〈全員片思い〉キャラクターの心情をより立体的に表現している。
なおDVDは初回限定盤のみに数々の特典がついており、特に第5巻には「ローマイヤ先輩スペシャル」、9巻に「藤原デザイン事務所スペシャル」と完全新作エピソードが収録されている。(斉藤守彦)
レビュー
監督: カサヰケンイチ 原作: 羽海野チカ 脚本: 黒田洋介 キャラクターデザイン: 島村秀一 声の出演: 神谷浩史/工藤晴香/うえだゆうじ/高橋美佳子/杉田智和/藤原啓治/大原さやか
-- 内容(「CDジャーナル」データベースより)