友人であったヴィクトル・ハルトマン(ガルトマン)の遺作展での10枚の絵画の印象を、
その半年後の1874年に音楽に仕立てたというムソルグスキーの展覧会の絵。
もちろんオリジナルはピアノ曲、クーセヴィツキーの編曲依頼によるオーケストラ版はラヴェルの手によるもの。
吹奏楽器の活躍のシーンが多いオーケストラ版は、絶頂期のカラヤン指揮のベルリンフィルによるもの。
ここではその吹奏楽器隊が切れ味鋭い演奏を聴かせてくれています。
カラヤン指揮の下、あらゆるシーンにフレキシブルに対応してゆく各パートの鮮やかな演奏力は流石です。
そして後半のピアノ版
ピアノの弦が切れてしまうのでは?というほどの豪快な打鍵が特徴でもあったベルマンのピアニズムは
この曲においては抑えられ、丁寧さを優先した演奏に徹していますが強打鍵ぶりは健在です。
オーケストラ版の後に聴いても、あまり音数のさみしさを感じさせません。
“リモージュの市場”における均整のとれた鮮やかな表現、そして“バーバ・ヤーガの小屋”から
“キエフの大きな門”にかけての堂々たる演奏は、もはやベルマンの真骨頂です。
古くはホロヴィッツやリヒテルの歴史的録音に肩を並べ得る演奏ではないでしょうか。
ベルマンの展覧会の絵は、現在このセットリストでしか入手できませんので、貴重です。
“カラヤン”“ベルリンフィル”“ベルマン”という3つのブランド力を差し引いても十分にすばらしいCDです。