コルトーの弟子でフランス人ピアニストのフランソワによるショパンのエチュード27曲です。最近電子ピアノを弾き始めたクラシック素人の駄文に近いレヴューなので、お詳しい方が読まれるとおかしな部分もあるかと思いますが、ご寛恕ください。
ショパンのエチュードについては、ホロヴィッツやアルゲリッチ、ルービンシュタインなど複数のピアニストの演奏を聴きましたが、フランソワの演奏は素人耳にも非常に面白くて個性的だと感じました。きちんとした演奏ではないけれども、この人の演奏を聴くと「音楽って面白いな」と感じ、「ピアノが好きになる」というふうな魅力を持っている人ではないでしょうか。音の向こうにある何かを思わせる、感情の激しい、感性の鋭い演奏、とにかく聴いた人の印象に残るユニークさがあります。
フランソワは譜面の指示どおりに弾かない、また演奏の出来にむらがある天才肌の芸術家という定評のあるピアニストのようです。聴き手によって好き嫌いがはっきり分かれるクセのあるタイプです。インタヴューで「機械じゃないんだから、譜面と違うとかミスタッチなんか気にしないでいい」と話していたフジコ・へミングは最も好きなピアニストとしてこの人を挙げています。
ところでピアニストに対して失礼かもしれないのですが、わたしのフランソワに対する第一印象は「あれ?イッケメエエン!」でした。ツィマーマンも二枚目だと思いますが、フランソワのほうがキュンとします。フランス文学を大量に読み過ぎたせいで(?)フランス人に弱いのか、佇まいに詩人のオーラが出ているから魅力を感じるのか、なんなのか。わたしは36枚全集セットの眉間にしわを刻んでいるモノクロ写真が一番好きですがみなさんいかがでしょうか。「若い時は鋭い表情をしているが、お酒とクスリのせいで晩年の顔はひどい」と書かれている方もいらっしゃいましたけれど。蛇足的な話をすみません。
それにしても、詩人肌で男性的でもろもろ中毒で破天荒で、ちょっと坂口安吾みたいだなあと思います(顔は似てませんが!)。