本作は、故・ジョージ・スルイザー(←ジョルジュ・シュルイツァーの表記もあり)が自国オランダで監督した「ザ・バニシング 消失」のアメリカに於けるセルフ・リメイク作ですが、バニシング〜は日本で長らく未公開でビデオ・スルーのまんまでしたけれど、2019年になって突如、小規模ながら劇場公開されました。
で、先ずは事実確認なのですが、本作は1993年末に劇場公開されていて、オリジナル版たるバニシング〜は1988年完成ですけれど、日本では遅れに遅れて2000年になりやっとソフト化されていて(初盤はIVC版で、キングは再発版)、当初はリメイク先行、オリジナル後発と、7年間の逆転時差が生じてしまいました。←2000年以降は両作いつでも鑑賞可能となり後先は関係なくなった。
なので、オリジナル版の輸入ソフトを93年までに購入してでもいなければ、日本では2000年までリメイク版しか鑑賞できない事が「普通のこと」で、私もオリジナル版の初見はリメイク鑑賞後であり、2000年以降でしたし、オリジナルを見ようと決断させたのも、リメイク版が「とても面白かった」からです。
それで今回、レビューしようと思い立ったのは、オリジナル版を久々に再見し、何かと囁かれる「リメイクは失敗する」との定説(?)をものともせず、そればかりかオリジナル版の不備を補正しながら、オリジナリティーな部分で楽しませてもくれる「充実ぶり」を再認識出来たからです。
つまり私自身はオリジナル版がイマイチで、最初にレンタルして見た後もディスク購入には至っていませんで、自分にとっては面白味に欠ける映画でしかなかったのですけれど、それでも「劇場の集中力が気づかなかった側面を感じさせてくれるかも?」の淡い変化を期待し、この機会に劇場でも見ておこうと出向きましたが、結果的に「ディスクを買おうとは思わなかった当時の理由」を再確認するだけの結果となりました。
《以後は両作共、鑑賞後に閲覧願います》
オリジナル版で最初に「あれ?」と感じたのが、リメイク版では恋人(サンドラ・ブロック)だった設定が妻で、ならば、より密接な間柄であるのに、妻の失踪に対して主人公の焦りがわずかばかりで、ちっとも切迫した緊急性が感じられず、犯人は犯人で、4度も主人公に接触を試みているなど、犯行動機が極めてパーソナルな部分に起因するため、「失踪させた」時点で目的は達成されているだろうに、にもかかわらず、犯行発覚の危険が伴う被害者側との接触を犯行後に度々行っていることに違和感が。
リメイク版では、主人公(キーファー・サザーランド)との接触は1度っきりで、それも自身同様に粘り強く諦めない長期戦で突き進む姿に自分の姿を重ねて妙な共感を覚え、言わば「好敵手」と密かに認め、歪な親近感を覚えていた相手が突然方向転換し、自身(恋人の行方)に興味をなくしたことで逆に相手に興味引かれ、予定外で自ら名乗り出てしまう可笑し味がミソだったし、自分勝手な犯人の複雑さも伺い知れ、異常心理の理解も深まったし、本来「沈黙」で完結しているはずだった犯行が公になってしまう経緯の理由付け、今更「名乗りでなくてもよい状況」への回答となり、とても納得いく展開だったからです。
それに犯人から妻の行方を教えると迫られ、言われるがままに犯人と行動を共にする主人公ですが、オリジナル版にはその箇所で公園らしきとこで犯人と談笑する和みの休憩場面があり、前の展開と兼ね合わせるとそこが何とも不可解で理解し難く、リメイク版ではそんな展開はなく、犯人にとって都合の良い場所(恋人が姿を消したドライブイン)で、「真相を知らないままでは生き地獄だ」との主人公の強迫観念につけ込む嫌らしさ、どんどん主人公を追いこむ内心のグロテスクさ、姑息な計画性に不気味さを伴走させて犯人に対す嫌悪感を煽り、観客も不安と恐怖が倍増する場面に釘付けとなり、オリジナルのような「意図を図りかねる」場面は皆無で、骨太なサスペンスに付き物な緊張感と緊迫感が加速するばかりとなっています。
「オチ」に関しては個々の好みに寄る部分が大きく、オリジナル版を好むか、またはリメイク版を良しとするかは真っ二つに別れてしまうところでしょうケド、私自身は後半の「喰うか喰われるか」の丁々発止の死の駆け引きは面白かったし、忘れた頃の無限∞マークの使い方や、オリジナル版では彩りにもならない登場で印象の薄い主人公の新恋人が、リメイク版では存在感バッチリで、個人的にソバージュは苦手な髪型ですが、ナンシー・トラビスとニコール・キッドマンにはソバージュ許します!てなくらい魅力的なキャラに大変身していて、アメリカンなエンタメ感の怒涛の付け足しが楽しかったです。
劇場鑑賞時の他の情報としては、本作のパンフレットは発行されていませんが、B3サイズで両面印刷のプレスシートは発行されています。また、今では「サンドラ・ブロック」表記が当たり前ですが、本作が公開されたときは無名女優でしたので、配布されていたチラシには「美人新スター サンドラ・バロック」となっていますね。
その「サンドラ・バロック」、チョー可愛いですね。ドライブインでよそ見していて車に接触しそうになったあと、恥ずかしそうに笑いながらピョンピョン跳ねる場面は永遠の名場面かと。
てな訳で、オリジナル版よりリメイク版を断然支持しますし、今後もオリジナルの「ザ・バニシング 消失」ディスク購入は、あり得ませんね。
失踪 [DVD]
フォーマット | 色, ドルビー, ワイドスクリーン, 吹き替え, 字幕付き |
コントリビュータ | ジェフ・ブリッジス, サンドラ・ブロック, ジョージ・スルイザー, キーファー・サザーランド |
言語 | 英語, 日本語 |
稼働時間 | 1 時間 50 分 |
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商品の説明
最愛の恋人が突然失踪した──。謎を追い、真相を究明する一人の男。
人間の暗部を見つめる衝撃のサイコ・サスペンス!
<キャスト&スタッフ>
ジェフ…キーファー・サザーランド(堀内賢雄)
バーニー…ジェフ・ブリッジス(菅生隆之)
リタ…ナンシー・トラビス(深見梨加)
ダイアン…サンドラ・ブロック(吉田美保)
監督:ジョージ・スルイザー
製作:ラリー・ブレスナー/ポール・シッフ
脚本:トッド・グラフ
●字幕翻訳:細川直子 ●吹替翻訳:古田由紀子
<ストーリー>
ある晴れた休日、ドライブを楽しんでいたジェフとダイアン。だが、冷たい飲み物を買ってくると言い残して、コンビニエンス・ストアに入ったダイアンはそれきり戻ってこなかった……。それから3年ジェフはありとあらゆる手を尽くして彼女を探し続けた。せめて生死だけでも、彼女になにが起こったか、それさえ分かれば……。そんな彼の前に一人の男が現れ、睡眠薬入りのコーヒーを差し出した。「これを飲めばダイアンの身に起きたこと全てが実体験できる」と言うのだが……。
<ポイント>
●最愛の恋人が突然失踪した──。謎を追い、真相を究明する一人の男。
人間の暗部を見つめる衝撃のサイコ・サスペンス!
<特典>
●オリジナル劇場予告編
登録情報
- アスペクト比 : 1.78:1
- 言語 : 英語, 日本語
- 梱包サイズ : 19 x 13.5 x 2 cm; 99.79 g
- EAN : 4988142681928
- 監督 : ジョージ・スルイザー
- メディア形式 : 色, ドルビー, ワイドスクリーン, 吹き替え, 字幕付き
- 時間 : 1 時間 50 分
- 発売日 : 2008/9/5
- 出演 : キーファー・サザーランド, ジェフ・ブリッジス, サンドラ・ブロック
- 字幕: : 日本語, 英語
- 言語 : 英語 (Dolby Digital 2.0 Surround)
- 販売元 : 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
- ASIN : B001BAODQA
- ディスク枚数 : 1
- Amazon 売れ筋ランキング: - 244,353位DVD (DVDの売れ筋ランキングを見る)
- - 9,040位外国のミステリー・サスペンス映画
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2017年12月4日に日本でレビュー済み
サイコ・スリラーものってけっこう作られていますよね。
この作品もまさにそのスタイルをなぞって構成さられた映画と
いえるでしょう。ただしこの男は典型的な孤独な怪人ではなく
妻子に恵まれた幸せな家庭の主がある日突然変わってしまう
怪人なのだ。ということでこの男が怪人に変身する過程の
落差と変転が日常的感覚で楽しめるところが興味深い。
この作品もまさにそのスタイルをなぞって構成さられた映画と
いえるでしょう。ただしこの男は典型的な孤独な怪人ではなく
妻子に恵まれた幸せな家庭の主がある日突然変わってしまう
怪人なのだ。ということでこの男が怪人に変身する過程の
落差と変転が日常的感覚で楽しめるところが興味深い。
2012年5月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
中々レンタルビデオ屋にも、販売店にも置いてなく、Amazonより購入しました。
かつて程の恐怖やドキドキを感じられなかったのは、一度見たストーリーのせいなのか、
少し古いせいなのか。
救いは有るような無いような。
かつて程の恐怖やドキドキを感じられなかったのは、一度見たストーリーのせいなのか、
少し古いせいなのか。
救いは有るような無いような。
2015年5月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
若い時のキーファーサザーランドが見たくて購入しました。ストーリー自体は火曜サスペンスのような感じもしましたが、突然失踪した恋人のことを、主人公がどう受け留め、「今」(失踪後)を生きていくのか、ということや、新しい恋人が、主人公の気持ちをようやく理解する場面など、ストーリー(話の筋)だけでない楽しさがある映画だなーとおもいました。ただ、最初の10分くらいは、正直ちょっと退屈でした。ストーリー上、意味があるのは分かりますが…。
2014年1月12日に日本でレビュー済み
意外に見応えのあるサスペンスだった。
物語は主人公のキーファー・サザーランドの恋人のサンドラ・ブロックが突如失踪。
恋人を捜索するサザーランドだが、その途中で出会った昔の知人としっぽり。数年経て以前の恋人を忘れようとするが、そこに犯人のジェフ・ブリッジスから接触がある。失踪事件の真相と、その後の顛末は?といった感じ。
今観ると、「24」のキーファー・サザーランドや1年後に映画「スピード」でブレイクするサンドラ・ブロック、そして奇妙な存在感を見せるジェフ・ブリッジス(「アイアンマン」の第一作目での最後の敵といったら判り易いだろうか)と中々の俳優陣である。
三十路直前とはいえ、サンドラ・ブロックのカーディガンにホットパンツという若さあふれる姿が眩しい。
主人公は基本ヘタレなのであまり長所が無いが、その分、ヒロインが頑張っている(笑)
中盤からラストまで、物語をひっぱるのは明らかに彼女。
主人公たちや犯人どちらにも爪が甘い部分があるのがヤキモキするが、登場人物の長所や短所を判り易く描いているのは作品の魅力に繋がっている。
物語は主人公のキーファー・サザーランドの恋人のサンドラ・ブロックが突如失踪。
恋人を捜索するサザーランドだが、その途中で出会った昔の知人としっぽり。数年経て以前の恋人を忘れようとするが、そこに犯人のジェフ・ブリッジスから接触がある。失踪事件の真相と、その後の顛末は?といった感じ。
今観ると、「24」のキーファー・サザーランドや1年後に映画「スピード」でブレイクするサンドラ・ブロック、そして奇妙な存在感を見せるジェフ・ブリッジス(「アイアンマン」の第一作目での最後の敵といったら判り易いだろうか)と中々の俳優陣である。
三十路直前とはいえ、サンドラ・ブロックのカーディガンにホットパンツという若さあふれる姿が眩しい。
主人公は基本ヘタレなのであまり長所が無いが、その分、ヒロインが頑張っている(笑)
中盤からラストまで、物語をひっぱるのは明らかに彼女。
主人公たちや犯人どちらにも爪が甘い部分があるのがヤキモキするが、登場人物の長所や短所を判り易く描いているのは作品の魅力に繋がっている。
2011年10月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
93年制作、ちょっと古い。ストーリはまあまあ面白い。最近のは2ヒネリぐらいあるストーリが普通だが、1ヒネリぐらいの割とストレートな内容。猟奇的な雰囲気は割と少ない、ちょっと珍しい設定。中古かコピーでもいいかな。キーファが若い。
(サンドラ・ブロック ファンへ)無名時代なので、わき役程度です。でもめちゃ若くて初々しい彼女が見れる。ショートパンツのぴちぴちサンドラをDVDコレクションするには、価値は十分です。
(サンドラ・ブロック ファンへ)無名時代なので、わき役程度です。でもめちゃ若くて初々しい彼女が見れる。ショートパンツのぴちぴちサンドラをDVDコレクションするには、価値は十分です。
2013年12月17日に日本でレビュー済み
たまたまテレビ欄に「失踪」というタイトルを発見し興味をひかれた。あらすじを確認するとさらに興味をひかれ鑑賞。
主演は24のジャックバウワー、サンドラブロックも出てる。キーファーの24人気にあやかった作品かと思ったら1993年作とそれ以前の随分前の作品。
タイトル、あらすじ、役者、三拍子揃ってるのに今まで全く知らない作品だった。と言う事はそれほどな作品だろう‥とは思いつつ観てみた。
うーん‥おしい。
というのが一番の感想。
調べるとオランダ映画をハリウッドリメイクした作品だそうだ。
というだけあってネタとしては悪くないものだと思う。
そうはならないだろうという感じの部分も多い中、淡々とトントンと物語は進行していく。
登場人物は多くなく良く言えば単純明快。悪く言えば稚拙。
結末も今カノに助けられ、そして追い続けた元カノは結局土の中というのも後味悪い。
今現在色々な作品もある中何もかも微妙という感じで、映画として名が聞こえてこなかったのもうなずける。
主演は24のジャックバウワー、サンドラブロックも出てる。キーファーの24人気にあやかった作品かと思ったら1993年作とそれ以前の随分前の作品。
タイトル、あらすじ、役者、三拍子揃ってるのに今まで全く知らない作品だった。と言う事はそれほどな作品だろう‥とは思いつつ観てみた。
うーん‥おしい。
というのが一番の感想。
調べるとオランダ映画をハリウッドリメイクした作品だそうだ。
というだけあってネタとしては悪くないものだと思う。
そうはならないだろうという感じの部分も多い中、淡々とトントンと物語は進行していく。
登場人物は多くなく良く言えば単純明快。悪く言えば稚拙。
結末も今カノに助けられ、そして追い続けた元カノは結局土の中というのも後味悪い。
今現在色々な作品もある中何もかも微妙という感じで、映画として名が聞こえてこなかったのもうなずける。