この巻では主人公・不動遊星がサテライトから脱出、セキュリティからD・ホイールとデッキを奪還し、トップスで暮らす双子の龍亞と龍可出会う所からが始まります。優勝者がキング・ジャックへの挑戦権を獲得できるデュエル・オブ・フォーチュンカップに、遊星、龍可、ヒロイン・十六夜アキらシグナーが集められ物語が大きく動き出します。
当時何かといい意見の聞かれなかった5D's序盤(シリーズ構成が冨岡淳広氏の時代)ですが、個人的には固くスローテンポながらキャラクター描写・ストーリー展開共に丁寧で作品を追って行き易く、吉田伸氏が構成に代わった後よりも好印象でした。
フォーチュンカップでのシグナー達の戦いが描かれていますが
何と言っても目玉は遊星対ボマー戦の21話「復讐のボマー 悲しみのトラップ チャリオット・パイル」です。
脚本の吉田氏によるプレイヤー同士の読み合いや鬼気迫るキャラ描写と驚きの結末、それを最大限引き出した中村憲由氏の派手なコンテ、見事コンテに答えたぎゃろっぷ陣の作画(原画に原憲一・小川純平・加藤寛崇氏等。特に加藤寛崇氏原画のパワーギアフィストは圧巻の一言。TV版とは違いディレイも掛かっていないので断然見栄えが良くなっています。)と見応え抜群の一編です。
16話・22話〜24話は十六夜アキメインのエピソード。
遊戯王のヒロインとしては珍しく当時は無口無表情で特異な能力から他人から忌み嫌われてきた経歴から独特な印象を受けました。
良くも悪くも斜め上を行く鈴木やすゆき氏が脚本を手掛けた23話(遊星対アキ戦)ではそんな彼女の衝撃的な胸の内が語られます。
ビジュアルもいろいろ衝撃的。
続く24話ではそれを受けての二人の戦いの結末が描かれます、BGMも手伝って熱い話になっています。
23話はコンテは瀬藤健嗣氏、作監は南伸一郎氏で原画に舘崎大・鈴木奈都子・小美野雅彦氏など。
24話は海外グロスですが東海林真一氏コンテ、武藤公春氏演出、箕輪悟氏作監で堅実な画面。
17話は飛び入り参加した打倒ジャックに執念を燃やすムクロ対遊星のライディングデュエルが繰り広げられます。イマイチ分かりにくかったスピードカウンター等のライディングデュエルの要素を説明しながらゲーム展開の主軸に組み込んでいるので「正直ライデングのルール分からん」という方にもお奨めです。所々コメディタッチでこの時期の5D'sでは珍しく後腐れの無い爽やかなエピソードです。
海外グロス回ですが、コンテ・レイアウト共に練られており、画面のテンションは高く作画は良好です。
【収録話】
#13「ダイヤル・オン!うなれディフォーマーデッキ」
脚本:冨岡淳広 演出・絵コンテ:せとーけんじ 作画監督:徳田夢之介
#14「現れるフォークロア 破壊をもたらす「黒薔薇の魔女」」
脚本:冨岡淳広 演出・絵コンテ:菱川直樹 作画監督:原憲一
#15「デュエル・オブ・フォーチュンカップ開幕 大空襲!!ジャイアントボマー・エアレイド」
脚本:冨岡淳広 演出:武藤公春 絵コンテ:中原れい 作画監督:武藤公春
#16「魔女再来、破滅の竜「ブラック・ローズ・ドラゴン」」
脚本:神山修一 演出:井上義弘 絵コンテ:中村憲由 作画監督:南伸一郎
#17「炎のリベンジャー スピード・キング☆スカル・フレイム」
脚本:福嶋幸典 演出:久保太郎 絵コンテ:中村憲由・東海林真一 作画監督:Park Chi Man・Lee Kyoung Soo
#18「古の森 精霊世界への誘い」
脚本:鈴木やすゆき 演出:政木伸一 絵コンテ:せとーけんじ 作画監督:こかいゆうじ
#19「汚染される精霊世界 悪なる意志 超魔神イド」
脚本:鈴木やすゆき 演出:岡崎幸男 絵コンテ:飯島正勝 作画監督:土橋昭人・水川弘理
#20「譲れない想い 我が使命は故郷と共に」
脚本:吉田伸 演出:町田住人 絵コンテ:小野勝巳 作画監督:高瀬言
#21「復讐のボマー 悲しみのトラップ チャリオット・パイル」
脚本:吉田伸 演出:菱川直樹 絵コンテ:中村憲由 作画監督:寺澤伸介
#22「暴かれる過去 デュエルプロファイラーVS黒バラの魔女」
脚本:冨岡淳広 演出:せとーけんじ 絵コンテ:葛谷直行 作画監督:小林一三
#23「決勝戦、仮面の奥に隠された心」
脚本:鈴木やすゆき 演出:浅見松雄 絵コンテ:せとーけんじ 作画監督:南伸一郎
#24「ヴィクテム・サンクチュアリ 破壊を包む星となれ!スターダスト・ドラゴン」
脚本:鈴木やすゆき 演出:武藤公春 絵コンテ:東海林真一 作画監督:箕輪悟
(敬称略)