“やさしい時間の中で”は、特別なところの無い普通の若い女性ロボットが心に抱く、
まだ告白できない相手への巧まない素直な語りかけ:夢の歌といったところでしょうか。
サミィ:田中理恵さんの歌声はここではあくまでも透明ですが、何か香りのようなものを
感じます。最後は、決着のつかない終わり方で、人とアンドロイドの物語がまだまだ
時間をかけないと落ち着いていかないことを暗示しているようです。たとえ一人ひとりが
どれだけ思っていたとしても。
同じ田中理恵さんの“Let Me Be With You 〜ちぃVer.〜”が16歳の女の子の恋の歌、
“Raison d’etre”がはっきりと意思を持った20歳ぐらいの女の子の希望の歌、
“I hear you everywhere”が失った恋を懐かしむ大人の女性の歌に思えるのに対し、
この“やさしい時間の中で”の透明感がすばらしい。田中さんは声優として千差万別の
キャラクターを演じておられますが、歌でも限りなくいろいろな表情を出しておられる
のですね。芸能界でのデビューは歌い手としての方が声優としてより早いそうですが、
さもありなん。
今回は、「イヴの時間」ファンとして以上に田中理恵さんファンとして満足しました。
Piano Versionは素敵なだけにアニメで流れた部分だけでなくFullで欲しかったです。
いずれどこかに収録されますように。