誰もが当たり前のようにスマホやパソコンを操作する今の時代とは違い、
かつてコンピューターやデジタルといえば無機質で冷たいイメージのものでした。
非常に便利な道具である一方で奥底の知れない不気味さをまとっている、そういうミステリアスな存在。
昔のSF作品に見られるコンピューターの暴走だとか反乱なんてテーマも、
どこか相容れないものという無意識の心の壁があったから生まれたのだと思います。
クラフトワークの音楽もそのイメージに則ってはいて、決して過剰ではなく厳かで怖くもある。
だけれど同時にユーモラスな味付けもなされており、このさじ加減が絶妙ですね。
遊んではいるけどふざけてはいないというか、すごく真面目に遊んでいるような雰囲気。
本作には今の時代には失われてしまったコンピューターへの美しいロマンを感じます。