もんた&ブラザーズのもんたよしのりが初主演した幻の名作ついにDVD化
元祖「おくりびと」とも言える、生と死を厳粛に見つめた感動作!
瀬戸内海の海辺の田舎町を舞台に、火葬場で働く一人の青年の姿を通して、
死の凝視、母子相姦、老人問題など商業映画がタブー視しがちなテーマを選んだ意欲作。
原作は重兼芳子の第81回芥川賞受賞作。
歌手・もんたよしのりが本名で映画初出演。
作家の井上靖が「映画は途中でいやになるので、めったに見ないことにしている。
しかしこの映画は最初から最後まで引きこまれた」と絶賛。
【物語】
瀬川敏夫は現在30歳、岡山県前島の火葬場職員として働いている。
毎日、仕事場に出ると、まず丹念にかまの掃除・点検をする。
そして、裸になって全身を塩で清め、仏様が来るのを待つ。
敏夫の恋人は小野正子といい、老人専門病院で働く明るい性格を持った女性。
彼は結婚も考えていたが、自分の仕事を正子に十分理解してもらえるかどうか自信がなく、
なかなか切り出せないでいた。
ある日、敏夫は道で倒れた女性を助け家まで送った。
彼女は広井ぬいと言い、山奥の家にひっそりと息子と暮らしている。
ぬいには決して誰にも言えない秘密があった。
【見どころ】
「こんな映画があったのか」と思わずうなること間違いなしの知られざる傑作。
あの“もんた&ブラザーズ”のもんたよしのり唯一の映画主演作。
もんたは火葬場で働く寡黙な青年を好演、この年報知映画賞の新人賞を受賞。
かたせ梨乃が恋人役で抜群のプロポーションを披露する他、80年代には滅多に映画出演しなかった鰐淵晴子、
体当たりの熱演を見せる江波杏子がそれに花を添える。
藤原鎌足をはじめとするあっと驚く名優がさりげなく出演しているのを探すのも楽しい。
また、もんたよしのり作曲、オーケストラ編曲を樋口康雄が手がけた
ブルースを基調とした洒脱な音楽は映画音楽ファンなら一度は聞いておくべき。
名匠・西岡善信が手がけた美術はもちろん、フェリーニに触発された保坂監督による幻想的なラストシーンは一見の価値あり。