心をバラバラに砕いて、それを少し丸い形に再構築してくれるような
強烈な切なさとノスタルジー、そして優しさを持った楽曲を生み出す
古川本舗さんのメジャー第一作。
原曲への思い入れは人それぞれでしょうが、
アレンジによってダメになった!というものは個人的感覚では無し。
ボカロの無機質さも独特の味わいがありましたが、
人間の息吹が吹き込まれた作品たちには温もりがさらに増しています。
一流スタッフによって仕上げられた音質も素晴らしい。
アートワークも文句無し!
歌い手さんについて。
僕は「歌ってみた」系の動画はほとんど観ないのですが、
技量だけなら非常に高い人たちばかり。プロと比べてもほとんど遜色ありません。
ただ、他人の作った曲を歌う上での個性の出し方や感情の込め方等に関しては
やはりかなりの差があると言わざるを得ません。
古川さんもやはりニコニコ出身の方であり
そこで知り合い、力を認めた友人たちと作品を作り上げたい!
という思いは強くあって、結果こういうコラボレーションが成立したのでしょうが
正直、古川さんの才能をフルに生かすには少し足枷と感じる部分があるのも事実。
今回もカヒミ・カリィさんや野宮真貴さん、拝郷メイコさんら
プロの方との仕事が実現しているわけですから、
いっそ一枚通してプロとのコラボレーションで製作してみても良いのではないか。
次回作に望むのはそのあたりです。
個人的には土岐麻子さんとか。
とはいえ、全体としては非常に満足していますし
古川さんの才能がついにメジャーの場に出たというご祝儀も含めて星5つ!
ボカロPとかニコニコ動画とか関係なく、
極めて良質な日本産ポストロック・エレクトロニカを聴きたい人は是非!