ピノキオP3枚目のアルバム『漫画』。
個人的に『ハナガノビール』は1曲単位、『poncotsu』は1枚通して聴くのに長けている作品だと思うのですが、
今作はどっちの聴き方をしてもOKな作品になっているというか。
他のレビュアーさんが仰っているように、A面曲(耳に残りやすく、インパクトが強いという意味で使っています)と言われるような曲が並んでいながら、アルバム通して聴くと最初から最後まで流れがあるんです。
これはかなり凄いと思います。普通こんな色々な曲あったらアルバムとして破綻するでしょうから。
だからなのか分かりませんが、何度聴いても飽きません。
変則的なリズムに乗る、恐らく夢の中の話である詞が強烈な「ユメネコ」
ピノキオP流のスタンダードなギターロック「とうめい」
人間への批判とそれに相対する愛情の矛盾する気持ちを歌った「人間なんか大嫌い」
そしてラストを飾るまさかのキャラソン(?)「どうしてちゃんのテーマ」など、
挙げればきりが無いです。
そして「はっぴーべりーはっぴー」、「さよなら、たましいさん」の存在はデカいです。
この2曲があることによって、アルバム全体に一本筋が通っていると思います。
「はっぴーべりーはっぴー」では普段何気なく過ごしている日常と、揺れ動く自分の心の中との溝を描いており、
「さよなら、たましいさん」は世界の終わりを見てしまったいま、普段何気なく過ごしているこの日常がたまらなく愛おしくなったんだと言っています。
前者に挙げた曲が社会の外面をなぞっているのだとするならば、
後者は社会の内面を見ているものだと思います。
このどっちの感情も持ち合わせているから私達は未来に向けて生きることができるのでしょう。
多分、このアルバムにどっちか片方の曲しか入っていなかったらここまでの感動は得られなかったです。
「はっぴーべりーはっぴー」は動画サイトでも聴くことができるので、何か惹かれるものものがあればご購入を検討してもよろしいかと。いつの間にか全曲好きになっているはずです。
絶対に後悔はさせないアルバムなので、是非どうぞ。