キセノンP氏の「はやぶさ」はまだ世間がはやぶさフィーバーになる以前の曲、というよりはやぶさフィーバーを作り出したご本尊の楽曲の一つ、ということで今でも必聴。見事な構成と熱い推進力で7分超をいっきに聴かせて長さを感じさせない。曲の発表から既に2年8ヶ月経過したが、今聴いても胸に迫るものがある。
ただ実のところ「はやぶさ」だけだったらこのCDを買う気にはならなかった。アルバム中はやぶさ関係の曲が多いのは当然と言えば当然だが、個々の曲はそれなりに趣向を凝らした良曲なのだけど似たようなコンセプトの曲の乱立で、いささか食傷気味。実を言うと私がこのCDを買う決め手になったのはA-9氏の「ペレグリン」。雪歌ユフの囁くような歌声でトランス系という意表を突いた変化球だが、これが見事にハマっている。軽快なアップテンポの曲なのに不思議に宇宙空間の静けさ、大きさ、時間の経過への想いが淡々と伝わって来る。こういう曲があるからボカロ曲漁りは辞められない。