男運が悪くいつも不倫男に遊ばれてしまうOLと、彼女に見合いを勧める田舎の母、ダッチワイフならぬダッチボーイのアンドロイド「あっくん」が織りなす、ハートウォーミングなラブコメディ。
田舎の母は、シングルマザー（不倫？）で娘を産んでいた。「かえるの子はかえる」＝「不倫母の娘は不倫女（男のおもちゃ）」なのか？

男不信に陥ったヒロインが、「あっくん」に癒されて、男の良さを再認識する。
ヒロインの田舎の母も、「あっくん」との触れ合いを通して、「私もいい人見つけたい」と、再び女に目覚める。
これは「かえる母娘」の「女再生」の物語である。作中にも「かえる」が象徴的に描かれている。

しかしこの物語は、ハートウォーミングであると同時に、アイロニカルでもある。
「生身の男」とのセックスで傷ついたヒロインが、「アンドロイド」とのセックスで癒され、「男最高！」と叫ぶラストのアイロニー。
生身の男とのセックスは無機質なホテルや車中で行われ、アンドロイドとのセックスは自然溢れる浜辺で行われるのが逆説的である。

なお、ヒロインは「あっくん」と本気で恋愛するわけではない。「あっくん」はあくまでも狂言回しのトリックスターなのだ。
ヒロイン山口真里は美人ではないが、「どこにでもいそうな男運の悪い女」として親近感が抱ける。
反対に母を演ずる榎本由希は楚々とした美人で、彼女の住む田舎家や小道具のかえるの折り紙は、古き良き日本のノスタルジーを醸し出す。
「あっくん」を演ずる高橋洋は、『ロボット以上人間未満』という難しい役どころを、整った風貌と絶妙なバランスで好演。

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