自分は幾つかこういうゲームをやってきましたが、正直なところこれが一番好きです。
まずは世界観ですね。
罪を犯したら刑務所行きではなく、それぞれにあった『義務』を負わされるという制度。
『日本』、『アメリカ』、『和食』...ect などといった概念がこの世界では存在しておらず、SF小説の中の世界として扱われていること。
これらの世界観がこの車輪の国ではきっちり構築されていると同時に、とても面白みのある物語を作り出しています。
次にキャラクター。
とにかく個性的です。かといって、他のギャルゲー等でよく見るような、ありえない性格や言動、口癖を持つキャラは居ません。(一人かなり奇抜なキャラも居ますが……)
あまり現実離れし過ぎず、かといって普通すぎずとバランスが取れた良いキャラクターたちだと思います。
特に主人公は完璧超人を自称しているだけあって、ありとあらゆる面で優れています。
基本的に掴みどころのない発言ばかりかまし、常におちゃらけているような一面を見せていますが、いざという場面ではしっかり事を片付けてくれるようなかっこいいキャラです。
あとは悪役である法月将臣ですが、これまたいい悪役です。
ただひたすら悪に徹するような悪役ではないのが特徴で、彼の言う事の大体が的を射ています。
だから憎もうと思っても憎めない。何故なら言っていることは全て合っているのだから。
そんな憎い悪役です。
もちろん、シナリオもとても良い出来。
義務を負ったヒロインたちの心の闇も割と現実的なもので、それを解決するに至るまでの道のりもしっかり描かれています。
特に『一度上げておいてそこから落とす』事に関してはとても上手いと思います。お陰で次が気になって仕方がないということもしばしば。
特に凄くて有名なのが、最終章で明らかになるあるトリック。これがまたこの世界観を上手く利用しており、ほぼ確実に騙されます。
自分も最初トリックが明らかになったときは「えっ!?」って思わず声を上げました。
個人的にラスト(終盤中の終盤)の失速感は否めませんが、それを差し引いても良い出来だと思います。
追加シナリオとして出てくる『法月編』もとても良いです。
こちらは本編で悪役だった法月将臣が、阿久津将臣として特別高等人の最終試験に挑んでいた頃の物語です。
あらすじを読んだ限りでも、ラストがどうなるか予想つくというだけあって、書くのが難しいシナリオだったのだと思います。
が、相変わらず『一度上げておいて落とす』事に関しては秀逸です。ラストを予想させつつも、次どうなるかを予想させないシナリオは素晴らしいの一言に尽きます。
こちらはラストの失速感もなく、エンディングもかなり良い。個人的に本編のエンディング、ラストよりも好きです。
長く、そして熱く語ってしまいましたが、車輪の国は非常に面白い作品です。
が、万人受けしないであろう内容でもありますね。確実に人を選びます。ハマった人は面白いと評価し、ダメな人はムリ!と評価するでしょう。
そんな作品なので、買うときは一度公式ホームページなどであらすじやキャラクターなどをチェックした方がいいかもしれません。ネタバレには注意してくださいね。最終章のトリックはお楽しみにしておきましょう。