ヴァイオリン協奏曲五曲の他に、アダージョK.261、ロンドK.373、ロンドK.269を収録してあります。協奏曲楽章の別稿が聴けるので、資料価値の高いセットだと思います。
録音は、1984年(第3番、第5番)、1986年(第1番、第4番)、1987年(第2番、アダージョ、ロンド)で、デジタル録音初期の懐かしい音が聴けます。問題は録音年によって音質が不統一である事で、一番いいのは1986年。ソロが前面に出て明るい音で伸び、オーケストラも厚い響きで弾みます。聴いていてとても楽しいです。1984年は、全体にやや薄曇りの音質で、86年ほどの突き抜ける感じがありません。1987年はさらに沈んだ音で、ソロヴァイオリンだけが前に出て、オーケストラは背景に引っ込んで伸びて来ません。これが惜しいです。