本編クリア済み。
前作はPS3版、外伝クリア済みです。
若干ネタバレ…というか、話の盛り上がるタイミングに抵触する部分があるのでご注意ください。
公式の掲げるジャンルはRPGとなっていますが、
正確にはADV+SRPGとなり、そのどちらかしか興味が無い、という方には
少々向かない作りになっています。
ADV(ストーリー)パートのボリュームはガッツリ、
SRPGパートもこの手のゲームにありがちなオマケレベルでなく
かなり遊び応えのあるものとなっています。
ADVパートは1時間以上の長丁場となるシーンもありますが
それゆえ普通のRPGで表現するのは難しい、丁寧で深い描写が楽しめます。
前作との繋がりはありますが、より世界観や状況の理解が深まる程度で
2から始めても全く問題はありません。
製品版に引継ぎ可能で、数時間のボリュームのある体験版が配信されているので、
そちらをプレイすれば大体の雰囲気は掴めると思います。
(体験版の範囲では戦闘回数は少ないですが、その後は戦闘頻度も高くなりフリー戦闘も可能となります)
前作のストーリーにとても感動した為、今作も期待していましたが
今作も王道のファンタジー戦記として大変満足しました。
声優さんの壮絶な演技や素晴らしい音楽の相乗効果も高く、こんなに何度も泣かされたゲームは初めてかもしれません。
ただ、前作では序盤はまったり、悪く言えばやや退屈な展開が続き中盤からようやく盛り上がった反動からか
今作では序盤から目の離せない展開の連続、そして中盤で最高潮に達する…のですが、
その中盤のとあるエピソードがあまりに秀逸で、
それ以降、そのエピソードを越える衝撃をついに味わえなかったのが残念でした。
勿論、中盤〜終盤にかけての盛り上がりはいくつもあり、十分すぎるほど面白くはあるのですが。
また、今作の主人公とヒロインの関係には前作のテーマと通じる部分もあるのですが
男同士の友情だからこそ素直に受け止め感動できた部分も
男女の関係となると納得のいかないものを感じてしまい、イマイチ入り込めない部分も…。
S・RPGパートは普通に遊べばかなり歯応えのある部類です。
「巻き戻し」という任意のターンに状態を戻せる機能があるのですが(使用によるペナルティはなし)
難易度イージーでもこれを活用しないと打破できない状況に何度も遭遇しました。
このシステムによって、より詰め将棋的な、独特の楽しみが生まれたように思います。
母艦とも言える「象車」システムは、スタメン落ちしたキャラでもベンチ専用にならない、
足の遅いキャラも前線で活躍できるなど恩恵が多く、戦略性も増しました。
難易度は高いですが、物凄くレベルの上げやすいシステムになっているため
ストーリーは気になるけどSRPGは苦手、という人でもゴリ押しで戦闘を進めることは可能です。
S・RPGパートでの不満は、とにかく「合成」の不親切さ。
必要なアイテムも分からず、合成後装備のステータスも実際合成するまで不明では
合成のモチベーションも上がりません。
せめて必要アイテムをどの敵が落とすか、どのMAPに出るか程度の情報でもあれば
素材収集の楽しみもあったのですが。
グラフィックに関しては、前作の3Dモデルも正直それほどの出来ではなかったので
3頭身のデフォルメになったことも事前情報ではあまり気にしていなかったのですが
シリアスなシーンでデフォルメキャラが演技しているのは思ったよりもシュールな光景で、
そこは全て立ち絵だけのやり取りでもいいのでは…?というシーンもあったり。
また、3Dのデフォルメキャラは、イラストの塗り方をそのまま取り入れているのでしょうが、
瞳の光が極めて小さく描かれているせいで、生気のない、所謂レイプ目のようになっているのも気になりました。
一枚絵のイベントCGはどれも美しくクオリティは高いです。
…と、気になる部分もそれなりにあるのですが
ADVパートは先が気になる展開にグイグイと引き込まれ、
SRPGパートはああでもないこうでもないと頭を悩ませ試行錯誤することに時間を奪われ、
本当に充実感に溢れた、プレイしてよかったと思える作品でした。
特にストーリー面は、今では最早希少となってしまった、
古きよき剣と魔法の世界観での戦争が、キャラクター一人ひとりの人物描写含め丁寧に描かれ
新鮮でありながら、どこか懐かしいような気持ちに浸れました。
ギャルゲーらしい絵柄で敬遠されがちかもしれませんが、前作ともども女性ユーザーにもオススメです。
前作同様「外伝」が発売され、2のキャラにもう一度会えることを期待しています。