FLAG 11.0「SHOW ME」:ヴィンテージをかわしながらの歩美の攻略が続く。ちひろは傷心を抱えながらも状況を理解して桂馬に歩美を本気で好きになれと迫る。その真剣な顔が良い。最初のヒロインで最後のヒロインである歩美はとうとう桂馬と一緒にあかね丸へ。
FLAG 12.0「初めて恋をした記憶」:OP無しで切迫した歩美との攻防。ゲーム世界の最高を狙う桂馬と現実世界の最高をめざす歩美。ここは歩美の勝ちだったが、見事にエンディングへ。ここまで、原作の相当部分を削って何とか尺に入れて進めてきた女神篇だが、最終回は逆に原作よりちひろと桂馬のシーン、細かい台詞や微妙な表情の変化が追加されている。朝日をバックに光の中で別れを告げるちひろのシーンなんて反則だ。見ている側がオーバーレンジする。原作が言いたかったことをさらに深く表現してくれていて本当にうれしいけれど、余計にちひろと桂馬がかわいそうになって、予想通り泣いてしまった。
ゲーム世界に気持ち悪いほど完全に復帰したらしく見える原作の桂馬に対し、ED無しで神のみ原点回帰の「コイノシルシ」が流れるエピローグの桂馬はゲームをクリアしながらも何か釈然としない雰囲気でゲーム部屋から(ちひろのように)光の中へ出て行く。いったいどこに向かうのかと、この巻を何度も見返しながら考えてしまうのは神のみファンの宿命だろう。シクラメンの花がカラスに食われてしまうかどうか以上に大きな違いがあるのかもしれない。桂馬は3D世界に残した思いを回収に行く。ちひろファンはそう信じているのではないだろうか。
FLAG 12.0オーディオコメンタリー:伊藤かな恵さん(エルシィ)と早見沙織さん(ハクア)と阿澄佳奈さん(ちひろ)と下野紘さん(桂馬)の4人で、モブキャラから他のヒロインとは大きく違う、実に切ないヒロインになったちひろのことを中心に話が進む。最終回は演じていて気持ちが凹み、胸が実際に痛んだと阿澄さん。神にーさまも泣きそうだ。
春から秋まで誰よりも時間をかけて桂馬を好きになったちひろ。特別な才能は無いし、際立った特徴も無いし、いかにもヒロイン然とした美人ではないし、女神もいなかった。でもコアは純真な乙女。我ら一般人でも素敵な恋ができる可能性を示した稀有なクラスメートだ。アニメ関係者にとってもちひろは、必ずしも豊かではない属性を越えて絶大な魅力を生み出した奇跡のキャラクターであり、女神以上に愛されたアイドルなのでは。彼女の存在によって「神のみ女神篇」はラブコメからピュアラブストーリーに昇華した。
映像特典:ノンクレジットED(#11)とノンクレジット「初めて恋をした記憶」。これだけ見ても泣ける。
特典Disc 「WEBラジオ 神のみぞ知るセカイ‾落とし神 Calling you‾ 女神篇」#10:桂馬とちひろ(エルシィではない)と若木先生。好きなエピソードランキング60分間。#11:桂馬とエルシィとかのんと不良のリョーくんの4人。「好きな楽曲ランキング」59分間。
ポストカードは歩美に白馬に乗って迫る桂馬と、ちひろが原作ではマイク、アニメではギターのネックを握りしめて涙するシーン。アニメの絵にスタッフの気合が入っていることが分かる。
ライナーノーツ:メルクリウス、倉川灯の紹介。キャラソン「キズナノユクエ」の絆。FLAG 11.0のBGMの造り込みと全員バージョン「キズナノユクエ」の事が熱い。アニメスタッフ、キャストが一体となって全てをつぎ込んでFLAG 12.0を創造した経緯には感動する。音楽解説は「キャラクター・カバーALBUM2」について。関係者がどれだけやりたいことに凝ったかがわかる。