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(かなりの長文失礼します）
実は購入まで、私は原由実さんという声優をあまりよく知りませんでした。
せいぜいアイドルマスターの四条貴音役だな、程度の認識で顔や本人のトークなどはほとんど知りませんでした。
購入したのもほとんど思い付きに近かったというのが本当のところです。
しかし、一曲目の「Place of my life」を聞いて「これは当たりのアルバムではないか」と予感し、通して聞いて「買ってよかった」と感じました。
一曲目のリードトラック「Place of my life」はシンプルなバンドサウンドによるポップロックな楽曲であり、このアルバムを象徴するような楽曲になっております。静と動をしっかり使い分ける曲調と言い、日常的ながら前向きな歌詞と言い、シンプルな中にしっかりセールスポイントがあります。明るいバンド曲としては、リズムがとても速いだとか、音が激しいだとかもないので非常に聞きやすいです。他にも「風のオーケストラ」や「Spiral Moment」などもこのようなポップなバンドサウンドの楽曲となっています。
そんな楽曲たちとは対照的なバラード勢や重ための楽曲たちも良曲ぞろいです。PVも用意されている「intention」は入りがとても穏やかで重ためのものとなっており原さんもしっとりと歌い上げていますが、サビでは重厚なバンドサウンドがさく裂し、原さんの歌い方も情熱的なものとなっています。シングルにもなっている「蛍火」は終わってしまった恋を悲しむ歌ですが、弦楽器とドラムが目立つ壮大めな楽曲ですが、ストレートな歌詞でどこか懐かしさを感じるような曲です。「Snow Drop」は離れてしまった大切な人への想いを歌った曲ですが、こちらはピアノやコーラスなどがいい味を出しており、穏やかなボーカルと楽器隊の盛り上げが見事にマッチし、これぞ冬バラードの醍醐味といった仕上がりになっています。
「あふれる想い」は原由実さん自身が作詞しており、周囲やファンへの感謝の想いを込めた歌詞となっています。非常に直接的な言葉づかい（比喩表現がなく具体的な歌詞という意味で）ですが、むしろその飾り気のなさが魅力です。曲調としてはバンドサウンドでこれまた明るく元気な曲で、ライブがあればかなり盛り上がる曲ではないでしょう。
個人的な目玉である「HANABI」は２タイプ収録されており、オリジナルではミンゴスこと今井麻美さんとコラボしており、エレキギターを効かせたロックサウンドと歌詞と二人の声が紡ぎだす寂しさを強調した夏の世界の融合が素晴らしいのですが、ソロバージョンではピアノ一本となっており趣がだいぶ変わります。
原由実さんの歌声は、耳触りが良く聞きやすいながらも大人っぽさ（艶っぽさとでもいえばいいのでしょうか？）があり、HANABIや蛍火などの哀愁漂う歌とは非常に相性が良いです。ポップロックな曲でもこういった声の方がバンドサウンドで歌うというのは最近のJ-POPでもあまり見られないと思うので、良いのではないでしょうか。
原由実さんをおすすめしたいのはまずはもちろん私と同じく様々な声優アーティストを応援する方々です。「アイドルっぽい声優シンガーではない人で新しい人を探したいなあ、でもかといってあまりにアニソンチックなのも聞き飽きたなあ」という方がいれば原由実さんは最高です。もちろんアニソンチックな歌というのもこのアルバムに収録されていますので、そういうのもやっぱり捨てがたいという人も心配はご無用です。
さらにお勧めしたいのがレビュータイトルにある通り「声優アーテイストは聞いてみたいけど…」という人ですね。そういった人の中にはアイドル声優さんたちの楽曲やアニソン色が濃い声優さんの楽曲を聞くのがまだ抵抗があるのでしょう。でも、原由実さんはそういった人でも聞きやすいと思います。また、最近中々新たな女性ソロシンガーというのを探すのも難しいと思います。さらに最近一線で活躍する女性シンガーといえば可愛らしい方がとても多いように思います。可愛らしいというよりはむしろ大人っぽい女性シンガーが聞きたいというJ-POPファンは購入を検討していただけければと思います。
駄文失礼しました。
