麻枝准のコンセプトアルバムの3作目です。
意欲作であった1作目や問題作の2作目に比べ、両者のいいとこ取りをしたようないいバランスで曲がまとめられています。
名盤『Love song』を越えられるかどうかはまだわかりませんが、それに匹敵するような曲たちで、
個人的には大満足の一作でした。
特に自分の中で良かったのは『Bus stop』、『tale of the tree』、『約束の唄』、『Supernova』あたり。
どれも麻枝さんの神秘的な曲が神がかり的に熊木さんの歌声とマッチしています。
これらの曲はアレンジャーのMANYOさんの力も大きく貢献しているように思います。
『きみだけがいてくれた街」、『Love Songの作り方』などは
聴き込むにつれてより強く良さを感じられそうな器の大きさを感じています。
『僕らだけの星』、『Rain Dance』、『光の行方』のアップテンポなナンバーも
アルバムの中のいいエッセンスになっています。
そしてある意味一番の問題の制作日誌。
制作日誌の中で麻枝さんは、
「『まだまだ作品を見たいから生きて』と言われる中で、ある人に『もう何も作らなくていいから生きて』と言われ涙した」
と述べています。
『まだまだ作品を見たいから生きて』という言葉は、たしかに作者の個を無視しているようで少し身勝手かもしれません。
でも私達のような個人的な接点のない一介のファンにとっては、
作品だけがあなたの生存報告なんです(Twitterもやめてしまったようですし)。
神秘的で郷愁的で、でも人間臭い。
こんな曲たちをかける人は麻枝さんしかいません。
残酷なことを言っているかもしれないけど、自分勝手なことを言っているかもしれないけど。
でも、死ぬまで作品を作り続けて欲しい。
私はまだまだあなたが生み出す世界を見てみたい。