本作は2009年に発売されたPC乙女ゲーム『断罪のマリア』に2012年に発売されたPSPゲーム『断罪のマリア〜ラ・カンパネラ〜』の追加要素とDC版新規要素を追加した決定版です。
旧版及びPSP版は未プレイで、本作をプレイしました。
鬱々とした暗くシリアスな展開やグロテスクなシーンが評価されて2009年の乙女ゲー版クソゲーオブザイヤー大賞受賞したと知って期待していたのですが、評判ほどには暗い話ではありませんでした。エクソシスト活動の為に命を削ったり、シスターと神父という立場の為に恋が成就しなかったりする点は確かに残念です。しかし、盲目的に信仰を捧げているキャラクターたちは、「神」という絶対的な指針があるという点で幸せだと思いました。個人の意思より神への信仰を第一に考えるキャラたちは神を疑うことはしません。彼らにとって信仰の為に命を落として恋心を断ち切るのは悲しいことでも残念なことでもなく、聖戦に参戦し、誘惑を断ち切ったという点で誇りになるのではないかと思いました。
神を拒否し、己の指針を失ったときに本当の苦しみが始まるのではないか。悪魔崇拝の秘密結社ルートでその点が掘り下げられるのではないかと期待しましたが、肩透かしでした。
シナリオは花梨恒例のシリアスなストーリーの間にコミカルな挿話がある形式でした。花梨のコメディは毎回笑えるのですが、本作のネタはつまらなかったです。秀才キャラが凡人を馬鹿にするシーンは面白おかしいというより不快な気分になりました。学園メンバーたちが結婚式を挙げたカップルを見て、恋愛できないことを嘆くシーンでは、「神父を目指すのをやめれば?」と本気で思いました。
キャラクターは理性的で内省的な人物が多いです。一見チャラいタイプでも根は真面目で堅い意思を持っています。良い意味で大人なキャラたちばかりですが、乙女ゲームとしては面白みがありませんでした。主人公のマリアもしっかりしていて大変良い子ですが、庇護欲は湧かなかったです。
しっかりしている男性としっかりしている女の子の恋愛過程は堅実で、意外性はなかったです。
前評判で期待したグロテスクなシーンもないのでとてもがっかりしました。もっと血や臓物が溢れるグロを見たかったです。