題材が政治で、しかも、新聞記者が書いたのに、不思議にも、さわやかな透明感が読後に残る。中立的で、自己を批判的にみるまなざしを忘れない良書。
日本の政治となると、金と利権、怨恨や義理人情のどろどろとした駆け引きの世界がいつも語られる。メディアからの情報となると、なおさら扇情的となりがちだ。しかし、この本では、終始一貫して、国民が何を考えているのか、それをちゃんと調べる方法は何か、そして、新聞がきちんと調べてきたかを真摯に自らに問い詰めていく。インタビューによる有力政治家の声をときおりいれてあるが、あくまでも、ほどよいスパイスとしてである。
そう、国民を主役にすえ、政治家を脇役として、国民に正面から向き合う姿勢が、この本の透明感につながっていると思う。なんだか恣意性を感じて読む気をなくす最近の新聞も、この本のような真摯な姿勢で書いていけば、NHKの視聴率が向上したように、販売部数の歯止めになるのではなかろうかと、余計なことまで思ってしまった。
メディアだけでなく、政治家も、見習うべきではなかろうか。

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世論調査と政治 数字はどこまで信用できるのか (講談社+α新書) 新書 – 2008/11/21
吉田 貴文
(著)
世論調査がなければ政治はどう変わるのか? 内閣支持率をメインに日本の政治に欠かせない装置となった世論調査。その生い立ちから役割り、功罪まで徹底検証。「世論調査政治時代」にどのように生きるべきか
- ISBN-104062725363
- ISBN-13978-4062725361
- 出版社講談社
- 発売日2008/11/21
- 言語日本語
- 本の長さ240ページ
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2008年12月29日に日本でレビュー済み
世論調査について「恣意的」「当たらない」など批判的な意見が多く出ているが、世論調査の元担当者が初めて出した、アンサー本的な本。批判にことごとく答えているわけではないが、「質問文が長すぎる」などの批判には実例を挙げながら「正確に質問を理解してほしいと思うと説明が長くなり…」と言いつつ反省の弁を述べる。
調査の苦労も語る。電話調査の場合、乱数で自動的に選んだ番号に電話するが、回答してもらえる確率が減った上、クレームも増え、固定電話も持たない人が増えた。世論調査で首相がやめるほどその影響力が大きいにもかかわらず、将来、世論調査が成立しない時代が来るかもしれない、と著者は語る。
長年「どの政党が好きですか」だった質問を「支持しますか」に変えた経緯や緊急世論調査の始まり、世論調査が生み世論調査が捨てた安倍内閣など、朝日新聞における世論調査の変遷も描かれていて、なかなか面白かった。優等生的ではあるが、世論調査をリードし続ける同社の世論調査の内情が見られて面白かった。影響力が強いからこそ風当たりも強いのかな、と感じた。
調査の苦労も語る。電話調査の場合、乱数で自動的に選んだ番号に電話するが、回答してもらえる確率が減った上、クレームも増え、固定電話も持たない人が増えた。世論調査で首相がやめるほどその影響力が大きいにもかかわらず、将来、世論調査が成立しない時代が来るかもしれない、と著者は語る。
長年「どの政党が好きですか」だった質問を「支持しますか」に変えた経緯や緊急世論調査の始まり、世論調査が生み世論調査が捨てた安倍内閣など、朝日新聞における世論調査の変遷も描かれていて、なかなか面白かった。優等生的ではあるが、世論調査をリードし続ける同社の世論調査の内情が見られて面白かった。影響力が強いからこそ風当たりも強いのかな、と感じた。
2010年3月20日に日本でレビュー済み
世論調査に携わった朝日新聞社員による書物です。主に世論調査に携わる苦労やお話が
中心であり、厳密な計測や社会環境への好影響、悪影響、投票への関与などについては
特に述べられていません。その点、調査は結果が全てであり、手法の問題は二の次だ。
と考える方にはうけるかもしれません。
ただ確かに1950年代からたとえば人々の集まる集会ですら省庁は計測にお金と人員を
費やしてきたがリベラルな人々は全くその手法に関して無関心でああったということだ。
その点真実は作り上げなければならないものであり、現時点の事実については述べるべき
ではないという態度とともにマス・メディアとその調査はあったのだと痛感する。また
学術的調査とその予算、マスメディアのスポンサー料という問題についても考えさせられ
たが特に本書によって得られた知見は皆無であるのは確かです。
『 「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ (文春新書) 』を読まれることをおすすめします。
中心であり、厳密な計測や社会環境への好影響、悪影響、投票への関与などについては
特に述べられていません。その点、調査は結果が全てであり、手法の問題は二の次だ。
と考える方にはうけるかもしれません。
ただ確かに1950年代からたとえば人々の集まる集会ですら省庁は計測にお金と人員を
費やしてきたがリベラルな人々は全くその手法に関して無関心でああったということだ。
その点真実は作り上げなければならないものであり、現時点の事実については述べるべき
ではないという態度とともにマス・メディアとその調査はあったのだと痛感する。また
学術的調査とその予算、マスメディアのスポンサー料という問題についても考えさせられ
たが特に本書によって得られた知見は皆無であるのは確かです。
『 「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ (文春新書) 』を読まれることをおすすめします。
2008年12月14日に日本でレビュー済み
世論調査に関わったことのある著者が内幕を語る部分は興味深いが、
報道が世論に与える影響については申し訳程度にしか触れられていない。
世論調査や報道の客観性に疑問を持っていない前提で書かれている。
また「ネット右翼」「インターネットの調査で若い人の意見」など
偏見ある記述にも好感が持てない。
報道が世論に与える影響については申し訳程度にしか触れられていない。
世論調査や報道の客観性に疑問を持っていない前提で書かれている。
また「ネット右翼」「インターネットの調査で若い人の意見」など
偏見ある記述にも好感が持てない。