これはモーニングで蛍の光が流れまくっていた時に、たまたま出張中だったため生き残った貴重なクレムリンである。
出張先は、リア充どもが聖なる結界を張る、恵比寿ガーデンプレイスの『東京都写真美術館(通称:写美)』。
クレムリンは、美術館の広報誌「ニァイズ」において2011年頃から密かに月1で連載中であり、
美術館の公式キャラクターにもなぜか関羽が採用されている。
詳しいことは謎だが、とにかくこれはクレムリンと写美の勇敢なコラボ作品である。
コラボじゃ大それた真似はできないだろうと思っていたら、1ページ3コマ目でいきなり写美爆破、4コマ目でパトカー登場という超速の胸熱展開。
(この内容にOKを出すとは一体どんなパンクな美術館なんだ?と疑問に思って行ってみたら、
すごくまともだしケーキはうまいし展示作品も素晴らしいし、なんとなく酢のような香りがする素敵な美術館だった。
最近は美術館も文化庁もなにかがおかしい。)
内容は、完璧なまでにいつものクレムリンである。
基本的には、写美の個性的な職員の方々の活動内容や、展示物などを紹介する広報誌なのだが、クレムリンとしての軸が全然ぶれてない。
「地獄の殺し屋キラーキャット」や「幸せの青い猫」といったキャラが写美の職員に置き換わっただけのような自然さで超マイペース。
まさにあの世界観のまま広報活動を展開している。モーニングの資猫堂編が写美編だったとしても違和感ゼロだったかもしれない。
紹介される裏話などは妙な魅力にあふれているので、写美に行くならこれを読んでから行った方が断然楽しめる。
この漫画はそもそも「関羽&却津山+ゲスト」という形式で進行することが多く、生レバーもテレビもカツカレーも擬人化されて登場するほどなので、
何かを宣伝紹介する能力は異常に高い。身軽で自由な作風を活かして、いろんな企画と足並みを揃えられそうな気がする。
クレムリン自体は売れないかもしれないが、クレムリンには何かを売る能力がある。
こういう気の毒なWin-Winは初めて見た。
作中には、画伯の初期の傑作として名高い「ゲルニカの関羽」(35ページ)や「団塊世代のための却津山」(126ページ)もありレア度が高い。
3年以上にも及ぶ漫画家の成長の記録が、わずか170ページに凝縮されているため、画力はそのままに絵柄が一気に変わる。
つまり関羽は急激にピザ化するし、却津山は突然、誰だかよくわからん少年になる。
ここらへんの狂気じみた疾走感もクレムリン1~7巻を読むだけでは味わえない。まさにファン垂涎のマストアイテムといえる。
また、ギャグの方向性は初期のクレムリンの影響が強く、下衆度は極めて低い。
セックスやウンコのダークサイドに堕ちる前のカレー沢作品を愛する方には最高の一冊かもしれない。
1話4ページほどの月間広報誌が40ヶ月続いて1冊の本になるというこの奇跡。
進研ゼミの漫画が単行本化されるより偉大なことだ。
極度にマニアックな本には違いないので、買うべき人が買わないとかなりヤバい。
いや、さすがに今回は本当にヤバい気がします。
写美のうまいヱビスビールより56円も安いのだから、ビール飲んだついでに買っておこう。

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ニァイズ 東京都写真美術館ニュース別冊~『クレムリン』出張版 コミック – 2014/4/22
カレー沢 薫
(著)
東京都写真美術館(写美)のらつ腕広報がカレー沢薫『クレムリン』にはまり、主人公・キャッツ&関羽をPR係にスカウト。アートとギャグ漫画という前代未聞のコラボが実現することに。綿密な取材に基づく爆笑レポートが待望の刊行。読むと恵比寿に行きたくなる超ディープな社会科(派)ギャグ漫画のもちろん決定版。
写真と映像の世界的殿堂・東京都写真美術館が何を血迷ったかカレー沢薫『クレムリン』を広報誌別冊に起用。展覧会の裏側、学芸員ほかスタッフの奮闘など、カレー沢が綿密な取材に基づいて面白おかしく描くほぼ実録ルポ漫画。アートファンはもちろんのこと、 ご家族揃って楽しめる社会科漫画の決定版だニャ!
写真と映像の世界的殿堂・東京都写真美術館が何を血迷ったかカレー沢薫『クレムリン』を広報誌別冊に起用。展覧会の裏側、学芸員ほかスタッフの奮闘など、カレー沢が綿密な取材に基づいて面白おかしく描くほぼ実録ルポ漫画。アートファンはもちろんのこと、 ご家族揃って楽しめる社会科漫画の決定版だニャ!
- 本の長さ176ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2014/4/22
- ISBN-104063649563
- ISBN-13978-4063649567
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商品の説明
著者について
カレー沢 薫
漫画家にして会社員にして人妻。生まれて初めて投稿した漫画が第26回MANGA OPENにて落選したにもかかわらず連載化。プロレタリアート猫ちゃん漫画『クレムリン』として全7巻の話題作となる。
月刊モーニング・ツーで『バイトのコーメイくん』を絶賛連載中。
初コラム集『負ける技術』も講談社より好評発売中。好きなものは猫、世界が滅亡するとかのパニック映画。その他の著作:『アンモラル・カスタマイズZ』(太田出版、第17回文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品)、『ブスだけどマカロン作るよ』(芳文社)、『国家の猫ムラヤマ』1巻(秋田書店)
漫画家にして会社員にして人妻。生まれて初めて投稿した漫画が第26回MANGA OPENにて落選したにもかかわらず連載化。プロレタリアート猫ちゃん漫画『クレムリン』として全7巻の話題作となる。
月刊モーニング・ツーで『バイトのコーメイくん』を絶賛連載中。
初コラム集『負ける技術』も講談社より好評発売中。好きなものは猫、世界が滅亡するとかのパニック映画。その他の著作:『アンモラル・カスタマイズZ』(太田出版、第17回文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品)、『ブスだけどマカロン作るよ』(芳文社)、『国家の猫ムラヤマ』1巻(秋田書店)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2014年4月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2017年4月21日に日本でレビュー済み
これはひどい。スタート時点でただちに紹介する美術館を爆破するシーンがある。出てくる美術館スタッフも全員が変態として描かれていてSMプレイをしたり、または床に穴が空いてそこに吸い込まれていったりする。よくこれで出版できたな、と思う。それなのに登場する者たち全員がシアワセそうだし、写真美術館という特殊な場所での学芸員の仕事をとても分かりやすく解説している。2巻以降の出版は難しいのかもしれないが、紹介マンガそのものはいまも写美のサイトで連載が続いている。作者が大人しくしている間に続編をまとめて出版しないと危険だと思う。
2014年6月14日に日本でレビュー済み
クレムリンのファンなので購入しました。
写真美術館(写美)の広報漫画ですが、
クレムリンファンにも、写美ファンにも
楽しめる一品です。関羽ちゃんもキャッツ
青年も、まったくいつも通りのノリ(笑)。
関羽ちゃんはやっぱり健気で、キャッツは
ブレずにリア充を憎んでいます。
楽しく読んで、いつの間にか少しだけ
写美に詳しくなれる…素晴らしい広報
漫画です。
写真美術館(写美)の広報漫画ですが、
クレムリンファンにも、写美ファンにも
楽しめる一品です。関羽ちゃんもキャッツ
青年も、まったくいつも通りのノリ(笑)。
関羽ちゃんはやっぱり健気で、キャッツは
ブレずにリア充を憎んでいます。
楽しく読んで、いつの間にか少しだけ
写美に詳しくなれる…素晴らしい広報
漫画です。
2014年5月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
こんなステキな学芸員さん達がいるなんて、果たして、どんな展示があるのかしら・・・と大変気になる内容だった。が、読み進めるうちに、もうすぐ、改装のため閉館(?)の記述を見つけ、残念な気持ちに。都民はもっとこの施設に注目すべきだったと思う。
とにかく、漫画はいつものカレー沢クオリティなので、カレー沢ファンなら読むべし。(関羽、やはりかわいすぎる。というか、こんな猫、真剣にほしい)
とにかく、漫画はいつものカレー沢クオリティなので、カレー沢ファンなら読むべし。(関羽、やはりかわいすぎる。というか、こんな猫、真剣にほしい)
2015年7月5日に日本でレビュー済み
絵柄は、好みが分かれる。
ただ、内容は、かなり突っ込んでいるので、写美に多少でも興味のある人には、
なるほど!と頷いたり、感心したり、うなったり、となることは
請け合える。
コミックスとしては、活字が多い。しかも小さい活字が、余白(はみだし)部分に
びっしり!という頁も少なくないので、活字が苦手な人には、薦めない。
旬が過ぎた情報も多いが、そこを差し引いても、取材のもとに描かれている(ような)ので、
コストパフォーマンスは良いと思う。
美術館の裏側を見たい人にも、参考になるだろう。
ただ、内容は、かなり突っ込んでいるので、写美に多少でも興味のある人には、
なるほど!と頷いたり、感心したり、うなったり、となることは
請け合える。
コミックスとしては、活字が多い。しかも小さい活字が、余白(はみだし)部分に
びっしり!という頁も少なくないので、活字が苦手な人には、薦めない。
旬が過ぎた情報も多いが、そこを差し引いても、取材のもとに描かれている(ような)ので、
コストパフォーマンスは良いと思う。
美術館の裏側を見たい人にも、参考になるだろう。