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マルドゥック・ヴェロシティ1〔新装版〕 (ハヤカワ文庫 JA ウ 1-13) 文庫 – 2012/8/23

4.4 5つ星のうち4.4 168個の評価

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戦地において友軍への誤爆という罪を犯した男――ディムズデイル=ボイルド。
肉体改造のため軍研究所に収容された彼は、約束の地への墜落のビジョンに苛まれていた。
そんなボイルドを救済したのは、知能を持つ万能兵器にして、無垢の良心たるネズミ・ウフコックだった。
だが、やがて戦争は終結、彼らを“廃棄"するための部隊が研究所に迫っていた……
『マルドゥック・スクランブル』以前を描く、虚無と良心の訣別の物語。
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商品の説明

著者について

冲方 丁(うぶかた とう)

1977年岐阜県生まれ。1996年スニーカー大賞金賞を『黒い季節』で受賞してデビュー。
2003年『マルドゥック・スクランブル』で第24回日本SF大賞受賞。
他に『マルドゥック・ヴェロシティ』『微睡みのセフィロト』(ともにハヤカワ文庫JA)など。
マンガ原作やアニメ脚本も手がけ、ジャンルを越境して活躍。
2009年、初めての時代小説『天地明察』で第31回吉川英治文学新人賞、第7回本屋大賞を受賞。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 早川書房 (2012/8/23)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2012/8/23
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 文庫 ‏ : ‎ 341ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4150310777
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4150310776
  • 寸法 ‏ : ‎ 11 x 1.4 x 16.1 cm
  • カスタマーレビュー:
    4.4 5つ星のうち4.4 168個の評価

著者について

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冲方 丁
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1977年岐阜県生まれ。早稲田大学在学中の1996年に『黒い季節』で第1回スニーカー大賞金賞を受賞してデビュー。2003年、第24回日本SF大賞 を受賞した『マルドゥック・スクランブル』などの作品を経て、2009年、天文暦学者・渋川春海の生涯を描いた初の時代小説『天地明察』で第31回吉川英 治文学新人賞、第7回本屋大賞を受賞し、第143回直木賞の候補となる(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『マルドゥック・スクランブル』(ISBN-10:4152091533)が刊行された当時に掲載されていたものです)

カスタマーレビュー

星5つ中4.4つ
5つのうち4.4つ
168グローバルレーティング

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上位レビュー、対象国: 日本

2014年2月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
新装版とありますが、それ以前の(改定前の)作品は読んでいません。
マルドゥックシリーズに関しては
マルドゥック・スクランブル The 1st Compression 〔完全版〕 (ハヤカワ文庫JA) の3部作を読了済みです。

ネタバレしない程度に、端的に言って引き込まれる、そんな文体だと感じました。
サイバーパンク的なSF要素を根底として、魅力的な登場人物と主人公達のその成長の過程が良く表現されている作品だとも感じました。

日本のSFも捨てたモノじゃないですね。
続編に期待です。
3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2017年10月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
 「マルドゥックスクランブル」では敵役だったボイルドが最強のネズミ型生物兵器ウフコックのパートナーであった頃の話。覚醒剤中毒で味方を誤爆し、肉体改造を施されて超人的戦闘マシーンとして生まれ変わったボイルドと、やはり生まれ立てのウフコックとの初々しいコンビが、自らの存在意義を求めて苦闘するストーリー。恐らくハードボイルドを意識した趣向だろうが、ぶつ切りの単語を並べる特異な文体が読みにくい。途中から使用頻度も減り気にならなくなったが、あまり有効な手法とは思えなかった。又「マルドゥック・スクランブル」にも通じるが、悪役の猟奇的な犯罪シーンの描写が強烈で誰にでも勧められる内容ではないと思った。
 が、日本発のサイバーパンクSFとして魅力は十分。良きパートナーとしてスタートを切ったかに思えるボイルドとウフコックがなぜ決別するに至ったのか、後編への興味は尽きない。
2011年2月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
マルドゥック・スクランブルの前日譚にあたる、ボイルドとウフコックを中心とした物語です。
他のレビューにもあるように、文体はやや特徴的ですが、慣れてしまえばこれほどスピード感と臨場感がある文体はありません。
物語は前作でバロットを救ったオーナインの機関がいかに成立したのかというところから始まります。
ボイルドを初めとして、そこに参加する個性豊かな”被験者”達は見ていて飽きません。
アニメで例えるなら『攻殻機動隊stand alone complex』の公安9課の様な精鋭部隊です。
この被験者達がだんだんと陰謀に巻き込まれていく訳ですが、そこには独特の文体で描かれる戦闘シーンと、
刑事ドラマのようなミステリーやサスペンスが織り込まれていて、前作とはかなり雰囲気が違います。
マルドゥック・スクランブルの話を意識して読むと多少の裏切りがあるかもしれませんが、それを補って余りあるほどの読み応えです。
マルドゥック・スクランブルの世界観をより魅力的なものにした本作は是非読んでもらいたい作品です。
6人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2006年11月27日に日本でレビュー済み
 あのマルドゥック・スクランブル全3巻の続編、というかあの世界のシリーズとしてのマルドゥック・ヴェロシティの評価は非常に辛めで星2つでもいいくらいだと思います。

 前作が非常に斬新かつ綿密に練られた文体及び構成でぐいぐいと読者を引き込むタイプのエンターテイメント性の高い作品で、主人公の少女の非日常的日常と暗黒世界のフリークスの対比、世界観の設定やウフコックのギミックといったものが非常に全3巻にわたってバランス良く主人公の復讐と絡めて、よく書かれていただけに、贅沢を言いたいのかもしれません。

 前作で、近親相姦、未成年虐待や法廷論争、アンダーグラウンドな匂いの犯罪の数々、フリーキーな軍事的/趣味の肉体改造と色々詰め込んでいるのなら、今作では、それをもっとセンセーショナルにスケールアップしたほうが、ファンには分かりやすいとは思うのですが、その作戦で行くならば、肉体改造組の他に、どのキャラクターが近親相姦担当で、どのへんがフリークス担当...というのが、ある程度名前や登場の仕方から想像が付きそうなのは、残念です。

 しかも前作が主人公の生存のためという前向きなテーマだったのにくらべ、今作は主人公(前作の敵役)がマルドウック・スクランブルに至る前に全てを失っていくその経緯という、ダークなもの。今回の主人公は虚無というか死に向かって突っ走るしかないというテーマはもうちょっと丁寧に扱って欲しかったかなと思うのは、わがままなのでしょうか?

 今回は、文体はよく言えば実験的、悪く言えば手抜きな印象で、ウブカタ得意の言葉遊びがなんだか煩雑に感じます。構成も、一巻でほとんどの主要キャラクターが登場しているらしい割に、文体のせいで各キャラクターの個性が分かりやすく描かれているとは感じられないため、2巻に期待していいのか、それとももっと文章と構成を練ってくれと苦情を言っていいのかも分かりません。この文体で、英単語や外来語のルビが多いと実力のない翻訳者が訳した海外ものを読まされているみたいなのも減点の要因。ここまでやられると、読んでいて、著者がのたうちまわりながら書いているような痛さがあるような気がして、ストーリーの骨格としてはエンターテイメント性があるのに読んでいて辛い作品と個人的にいうしかありません。

 クレージーな世界観と、各キャラクターごとの綿密なSF的ギミックの割り振り方の対比は面白いと思うんだけど、圧縮進行というか、尋常ならざる速度(ヴェロシティ)で暗黒面に突っ走る感じだけの内容だと...内容如何では二巻目でげんなりしてしまいそうな予感。

 以上の事は、マルドゥック・スクランブルの続編としてこの作品を読んだ感想。

 もし、前作を未読ならば、やけにセンセーショナルで、文も荒れている感じだけど、荒唐無稽で面白いSFじゃんと、次巻を素直に待ち望んだ事だと思います。もしそうだったら、星4つくらいの評価だったんじゃないかと。

 だから、間をとって星3つ。
20人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2010年11月28日に日本でレビュー済み
マルドゥック・スクランブルの映画化をきっかけに冲方丁作品に手を出してみようと思い、
表紙や裏表紙のあらすじ等を比較してみて、ハードボイルドさを窺わせるヴェロシティを購入しました。

ほんの軽い気持ちでページを開いて驚いたのが、スラッシュを多用する文体でした。
最初の頃こそ「こんなもの読めるんだろうか」とおそるおそる読んでいたものでしたが、
情景を描写する単語を直接読み込むため単語一般的な小説の文体に比べてイメージが脳裏に浮かびやすく、
小説を読んでいるのにまるで映画やアニメを見ているような感覚に陥ってからは、
それこそ「加速」するように1巻を読了してしまいました。

助詞や接続詞などの余分な情報を挟むことなく、直感的に読み手に情景描写を届ける文体であり、
スラッシュの前後で「今見ている風景」と「ビジョン」が同じ一文の中に並存する、というのは
ちょうど読み手がボイルドの視界を通してマルドゥック市を見ているよう。

また、戦闘描写も秀逸でした。
初めてボイルド達による戦闘が行われた場面では、「文字を読んでいる」感覚がなく、どちらかというと
手に汗握るアクション映画を見ていたようです。
映画館の真っ暗闇の中、両脇の他人の存在を忘れてスクリーンに熱中していた、あの感覚が重なります。
戦闘でもスラッシュが使われていますが、こちらは行動の移り変わりの間にスラッシュを挿入するため、
まるで映画のフィルムのような様相を呈しています。
どちらもスラッシュが邪魔にならず、無意識のうちにそれを拾うことで、同時に流れの微妙な切れ目も
読み手の受け取る情報に滑り込ませ、読み手を心地よい言葉のリズムにのせてくれる気がしました。

スクランブルの改訂にあたり文庫本のページ(大きさや行数、字数)に合わせて文章を整えた、と
著者が自身のブログで言及されていますが、「読み手がひとかたまりの情報をどう受け取るか」について
ここまでしっかりとお考えだからこそ、こうした読み手の「加速」が可能になったのでしょうか。
ただただ脱帽です。

以上は個人的な感想であり、先達の方々が仰るように、文体が受け付けるかどうかは人によりけりです。
(私はレギュラーメンバーの紹介が済んだあたりから文体が気にならなくなりました)
ですが、文体で購入をためらわれるのであれば、是非、試しにお買い上げになることをお勧めします。
冲方作品初心者が数分読み始めただけでぐいぐい引き込まれてしまってすっかり冲方先生のファンになる
くらい、魅力的な小説だと思います。
4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2016年4月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
マルドック・スクランブル(コミック)を読み購入、やはりおもしろい!素晴らしい想像力、リアルな都市描写、スピード感ある文体、どんどん読み進めてしまいました!でも表紙がダサいので☆マイナス1
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2012年8月26日に日本でレビュー済み
新装版が出たのを期に再読する。
やっぱり面白い。
ドキドキしながら読み進めてしまう。

変わったのは表紙だけかと思っていたら、文章にも手が加えられていた。
J・エルロイに影響を多いに受けた文体かもしれないが、そのスタイルは物語を加速させこそはすれど、決して気迫を削ぐ方向へは作用しない。
読みにくいという人もいるかもしれないが、それも含めての物語なのだ。
読み、見て、想像して、味わうのが小説ではないか。
言葉も文章も日々進化していくのだね。

この出版はいよいよ第3部へ向けての布石なのだろうな。

本当に、本当に待ち望んでいるよ。
21人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2012年9月30日に日本でレビュー済み
文章に大幅な改定が加えられており、既読でも新鮮に読めました。
始まりの1ページ目から違和感を感じ、旧版マルドゥックベロシティと
較べ読みをしてみると文章が変わっている。
まだ、途中ですが、読み進めるとより深く人物を掘り下げていたり、
なぜアノニマスが発表されて何年も出ないか、納得出来る内容でした。
しかし、タイトルは新装版。
スクランブルのように完全版ではないのには何か冲方さんの意図があるの
ではないでしょうか?
マルドゥックシリーズの今後により大きな期待してしまいます。
未読の方はもちろん、既読の方も買って損は無い内容だと感じました。
7人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート