進化論、ゲーム理論における合理性と感情の関係を記述した興味深い著書である。ヒトのあらゆる活動がESS(EVOLUTIONARILY STABLE STRATEGY・進化的に安定な戦略)に基づくのは間違いないにしても合理性がすべてなのかという疑問は進化論、ゲーム理論にに興味を持ち納得している私を含め多くの人々が思っていることだろう。例えば天皇制はその起源からして進化論、ゲーム理論からすれば馬鹿馬鹿しいものだしとっくの昔にその役割を終えた陳腐な制度であるにもかかわらず現代でも多くの国民がその非科学性、非合理性、非経済性を認識しながらその存続を認めた「均衡」を受け入れている。そこには著者の指摘するような「感情」の作用も強く働いているのかとも考える。いずれにしろ合理性と感情の関係は人間行動学、政治、経済、進化心理学など進化論とゲーム理論が関わるすべての分野で今後の大きなテーマになるのではと思う。
しかしながらこの翻訳本のタイトル「愛と怒りの行動経済学」はいけない。著者の主張を正確に表しているとは言えない。原題のFEELING SMART・フィーリング・スマートのほうがはるかに論述内容に合っていると思う。サブタイトルの「賢い人は感情で決める」も著者の主張が曲解されるおそれがある。著者の主張は進化論、ゲーム理論に立脚しているのは明らかで、ただ、感情も英語版のサブタイトルにあるように「考えているよりは合理的」なのではないか、進化論的、ゲーム理論的な根拠があるのではないかと主張しているのであって感情が優先するあるいは感情がすべてであるなどと主張しているわけではない。この分野の著書の邦訳には売らんがためにおかしなタイトルをつける傾向があるが問題だと思う。
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愛と怒りの行動経済学:賢い人は感情で決める 単行本(ソフトカバー) – 2017/3/23
エヤル・ ヴィンター
(著),
青木 創
(翻訳)
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購入オプションとあわせ買い
依田高典氏(京都大学経済学部教授)推薦
「人間は、感情と理性のあいだで揺れる振子。
最新のエビデンスに基づき、気鋭の行動経済学者が描き出す、
進化論的合理性の摩訶不思議! 」
ダン・アリエリー氏(『予想通りに不合理』)推薦
「本書『愛と怒りの行動経済学』でエヤル・ヴィンターは、
私たち自身がときに自分でももてあます怒りや妬みといった感情が、
思いもよらず有用であることを教えてくれる。
本書を読んだあとであなたが怒りっぽくなくなるかといえばそんなことはないが、
自分の感情の形作られる焦点がはっきりするはずだ」
ケネス・アロー氏(ノーベル経済学賞受賞者)推薦
「ヴィンターは、従来の合理性分析が説明のつかない部分を少なからずかかえており、
したがって十分なものではないことを明快に示す。
彼の文章は気さくで型にはまらず、しかも厳密だ。
自分の家族のエピソードがシームレスに、彼自身の功績である研究論文の引用にすんなり続いていく」
アルヴィン・ロス氏(ノーベル経済学賞受賞者)推薦
「著名なゲーム理論家であり行動経済学者であるエヤル・ヴィンターは、
大いなる情と共感をもって、合理性と感情についての解説をものした」
行動経済学は行動主体たる人間の感情の役割をクローズアップしたがために注目を浴びた。
しかし本書の著者はこう言う――行動経済学のこれまでの成果は往々にして、
愛や怒り、ねたみといった感情をもっぱら合理的な意思決定から人を遠ざけるものとばかり位置づけてきたが、
それは悲観的に過ぎるというものだ。感情は合理的な側面もそなえていて、
われわれにさまざまな利益をもたらしてくれるのだ。ゲーム理論と進化論とに注目し、
「意外と賢い感情」の実例をさまざまな実験と、自らのコミュニティーでの出来事とを照らし合わせることにより
ビビッドに説き明かす。歴代ノーベル経済学賞受賞者が絶賛する、行動経済学の新たな収穫。
「人間は、感情と理性のあいだで揺れる振子。
最新のエビデンスに基づき、気鋭の行動経済学者が描き出す、
進化論的合理性の摩訶不思議! 」
ダン・アリエリー氏(『予想通りに不合理』)推薦
「本書『愛と怒りの行動経済学』でエヤル・ヴィンターは、
私たち自身がときに自分でももてあます怒りや妬みといった感情が、
思いもよらず有用であることを教えてくれる。
本書を読んだあとであなたが怒りっぽくなくなるかといえばそんなことはないが、
自分の感情の形作られる焦点がはっきりするはずだ」
ケネス・アロー氏(ノーベル経済学賞受賞者)推薦
「ヴィンターは、従来の合理性分析が説明のつかない部分を少なからずかかえており、
したがって十分なものではないことを明快に示す。
彼の文章は気さくで型にはまらず、しかも厳密だ。
自分の家族のエピソードがシームレスに、彼自身の功績である研究論文の引用にすんなり続いていく」
アルヴィン・ロス氏(ノーベル経済学賞受賞者)推薦
「著名なゲーム理論家であり行動経済学者であるエヤル・ヴィンターは、
大いなる情と共感をもって、合理性と感情についての解説をものした」
行動経済学は行動主体たる人間の感情の役割をクローズアップしたがために注目を浴びた。
しかし本書の著者はこう言う――行動経済学のこれまでの成果は往々にして、
愛や怒り、ねたみといった感情をもっぱら合理的な意思決定から人を遠ざけるものとばかり位置づけてきたが、
それは悲観的に過ぎるというものだ。感情は合理的な側面もそなえていて、
われわれにさまざまな利益をもたらしてくれるのだ。ゲーム理論と進化論とに注目し、
「意外と賢い感情」の実例をさまざまな実験と、自らのコミュニティーでの出来事とを照らし合わせることにより
ビビッドに説き明かす。歴代ノーベル経済学賞受賞者が絶賛する、行動経済学の新たな収穫。
- 本の長さ312ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日2017/3/23
- ISBN-104152096764
- ISBN-13978-4152096760
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商品の説明
著者について
◎著者紹介
エヤル・ヴィンター(Eyal Winter)
1959年生まれで、イスラエルとドイツの国籍をもつ。
エルサレムのヘブライ大学で数学、統計学、経済学を学び、ゲーム理論に関する研究で博士号を取得。
欧州大学院、セントルイス・ワシントン大学、マンチェスター大学教授などを経て、
現在はレスター大学とヘブライ大学合理性研究センターの経済学教授。
主たる研究分野はゲーム理論、行動経済学、実験経済学、契約理論。本書が一般向けの初めての著書。
さらにくわしくはヘブライ大学のサイトを参照。http://www.ma.huji.ac.il/~mseyal/
◎訳者略歴
青木創(あおき・はじめ)
翻訳家。1973年生まれ。東京大学教養学部教養学科卒業。
訳書にワッツ『偶然の科学』、メイ『さよなら、ブラックハウス』、モス『黄金の時間』、
フランセス『〈正常〉を救え』、ウィンズロウ『報復』(共訳)ほか多数
エヤル・ヴィンター(Eyal Winter)
1959年生まれで、イスラエルとドイツの国籍をもつ。
エルサレムのヘブライ大学で数学、統計学、経済学を学び、ゲーム理論に関する研究で博士号を取得。
欧州大学院、セントルイス・ワシントン大学、マンチェスター大学教授などを経て、
現在はレスター大学とヘブライ大学合理性研究センターの経済学教授。
主たる研究分野はゲーム理論、行動経済学、実験経済学、契約理論。本書が一般向けの初めての著書。
さらにくわしくはヘブライ大学のサイトを参照。http://www.ma.huji.ac.il/~mseyal/
◎訳者略歴
青木創(あおき・はじめ)
翻訳家。1973年生まれ。東京大学教養学部教養学科卒業。
訳書にワッツ『偶然の科学』、メイ『さよなら、ブラックハウス』、モス『黄金の時間』、
フランセス『〈正常〉を救え』、ウィンズロウ『報復』(共訳)ほか多数
登録情報
- 出版社 : 早川書房 (2017/3/23)
- 発売日 : 2017/3/23
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 312ページ
- ISBN-10 : 4152096764
- ISBN-13 : 978-4152096760
- Amazon 売れ筋ランキング: - 854,419位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 5,304位経済学・経済事情
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2018年8月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2020年9月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
男性と女性で考え方が大きく異なることがわかりました。男性はテストステロンの値が高いと喫煙や飲酒のリスクが増えることや、自信過剰や楽観的なほうが生きていくのには有利なことを学ぶことができました。内容は面白いのですが、少し全体的に纏まっていない印象を受けました。
2017年10月9日に日本でレビュー済み
行動経済学系の本のイメージは、人間がいかに合理的ではなく不合理であるか、まるで感情が悪のような捉え方で書かれている本が多いかと思います。
ですが、この本は感情が意思決定において重要な役割を果たしていることを伝えています。
著者曰く、
「本書で取り上げた例や多くの研究を知って、感情が進化の過程で取り残された大昔の原始時代の遺物などでは無く、われわれの合理的な面を補ってバランスを保つための高度なすぐれた道具であると納得していただければ幸いである。結局のところ、優位に立つのは思考のみに頼る人物ではなく、感じて考える人物なのだから」とのことです。
また、進化論的やゲーム理論的な観点から感情がどのような役割を果たしてきたのかも数多く説明されています。
進化論では、一見合理的とは思えない「集団への帰属意識」が果たしてきた重要な役割について、ゲーム理論においてはかの有名な囚人のジレンマが、人間の感情や集団への帰属意識を考慮に入れることによって結果は大きく変わることが証明されています。
更に、多くの宗教がどうして利他的行動をせよと説いているのか、進化論的な立場からこの教えが守れてきた理由も説明されています。
内容は多岐に渡っており、興味深い一冊かと思います。
ですが、この本は感情が意思決定において重要な役割を果たしていることを伝えています。
著者曰く、
「本書で取り上げた例や多くの研究を知って、感情が進化の過程で取り残された大昔の原始時代の遺物などでは無く、われわれの合理的な面を補ってバランスを保つための高度なすぐれた道具であると納得していただければ幸いである。結局のところ、優位に立つのは思考のみに頼る人物ではなく、感じて考える人物なのだから」とのことです。
また、進化論的やゲーム理論的な観点から感情がどのような役割を果たしてきたのかも数多く説明されています。
進化論では、一見合理的とは思えない「集団への帰属意識」が果たしてきた重要な役割について、ゲーム理論においてはかの有名な囚人のジレンマが、人間の感情や集団への帰属意識を考慮に入れることによって結果は大きく変わることが証明されています。
更に、多くの宗教がどうして利他的行動をせよと説いているのか、進化論的な立場からこの教えが守れてきた理由も説明されています。
内容は多岐に渡っており、興味深い一冊かと思います。
2020年4月7日に日本でレビュー済み
少し前に話題になった行動経済学について、友人と話す機会があったため、興味を持ち購入した。
最初は行動経済学に対し、人の感情を合理的に計算するという行為が冷淡な学問だと感じあまりいい印象がなかった。しかし、本書を読み進めていくと、そのイメージが一変した。
最初に抱いていたイメージとは違い、感情というのは、合理的な側面があるということを理解することができた。
一般的に、謙虚でいることは正しく、謙虚さを持つことが人間を強くすると思われている。しかし、その因果関係は逆であり、人間の持つ強さが、謙虚さというシグナルとして現れるのである。つまり、自分が強い立場ではないのに、無理に謙虚である必要はないということだ。私の場合は、アルバイトやサークルなどで、先輩がいるときに、謙虚であることが最善であり、そうすることで自分を守ろうとしてきたが、そうではなく、自分が強くないうちは常に謙虚である必要はないという考え方に変わった。
経済学ではあるが数字やグラフが並べられているわけでもなく、私たちが普段持つような感情について書かれているため、経済学の初心者である私でも一度読むだけでスッキリと理解することができた。行動経済学には興味があるが、難しい理論をいきなり学ぶのはハードルが高いという人にぜひおすすめしたい一冊だ。
最初は行動経済学に対し、人の感情を合理的に計算するという行為が冷淡な学問だと感じあまりいい印象がなかった。しかし、本書を読み進めていくと、そのイメージが一変した。
最初に抱いていたイメージとは違い、感情というのは、合理的な側面があるということを理解することができた。
一般的に、謙虚でいることは正しく、謙虚さを持つことが人間を強くすると思われている。しかし、その因果関係は逆であり、人間の持つ強さが、謙虚さというシグナルとして現れるのである。つまり、自分が強い立場ではないのに、無理に謙虚である必要はないということだ。私の場合は、アルバイトやサークルなどで、先輩がいるときに、謙虚であることが最善であり、そうすることで自分を守ろうとしてきたが、そうではなく、自分が強くないうちは常に謙虚である必要はないという考え方に変わった。
経済学ではあるが数字やグラフが並べられているわけでもなく、私たちが普段持つような感情について書かれているため、経済学の初心者である私でも一度読むだけでスッキリと理解することができた。行動経済学には興味があるが、難しい理論をいきなり学ぶのはハードルが高いという人にぜひおすすめしたい一冊だ。
2022年12月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
行動経済学の本はメジャーなものを中心に興味深く読んできましたが、
この本は読みにくく、内容もつまらなかった。
読みにくさは、翻訳の出来が影響している。
久々にこんなに硬い文章を読んだ。
また、他レビューにもあるように
本全体にまとまりがなく、取っ散らかっている。
だから一気に読みたいけど、読みにくさも相まってそれができないジレンマ。
有名どころの、ダンアリエリー、ダニエルカーネマン等の著作を読んで
読むものがなくなったら手にとってもいいんじゃない?
内容は保証はできないけど。
レベルです。
この本は読みにくく、内容もつまらなかった。
読みにくさは、翻訳の出来が影響している。
久々にこんなに硬い文章を読んだ。
また、他レビューにもあるように
本全体にまとまりがなく、取っ散らかっている。
だから一気に読みたいけど、読みにくさも相まってそれができないジレンマ。
有名どころの、ダンアリエリー、ダニエルカーネマン等の著作を読んで
読むものがなくなったら手にとってもいいんじゃない?
内容は保証はできないけど。
レベルです。
2018年4月26日に日本でレビュー済み
人間の実際の行動と、合理的な行動との違いを予測、説明するのが行動経済学ですが、数多くの例示を見ていると、人間は、個人差や文化(民族)でもかなり違いがあり、一律に合理的という尺度で計れる生物ではないなと思ってしまいます。
筆者はイスラエルとドイツ国籍を保有していますが、一番興味深かったのは、パレスチナ人、イスラエル人、ドイツ人のグループを対象にした信頼ゲームです。簡単に言うと、まず、Aがある額を受取り、Bにその中から一定額を渡します。Bは貰った金額の2倍を別途受取り、手持ち金額からAに渡します。
Aが渡す割合は、パレスチナ人66%、ドイツ人50%、イスラエル人36%だったそうです。Bの方で予測したのも、グループ毎にほぼ同じだったそうです。この結果は、相手グループの民族を教えて実験しても同じだったそうです。
通説なら50%なのでしょうが、この結果が示しているのは、文化/民族によって合理的な行動規範が違うという事です。囚人のジレンマなどでの合理的行為も違ってくるでしょう。また、一方でよくよく考えると、これほど違うのであれば、中東和平への道はかなり遠い事を感じさせます。
筆者はイスラエルとドイツ国籍を保有していますが、一番興味深かったのは、パレスチナ人、イスラエル人、ドイツ人のグループを対象にした信頼ゲームです。簡単に言うと、まず、Aがある額を受取り、Bにその中から一定額を渡します。Bは貰った金額の2倍を別途受取り、手持ち金額からAに渡します。
Aが渡す割合は、パレスチナ人66%、ドイツ人50%、イスラエル人36%だったそうです。Bの方で予測したのも、グループ毎にほぼ同じだったそうです。この結果は、相手グループの民族を教えて実験しても同じだったそうです。
通説なら50%なのでしょうが、この結果が示しているのは、文化/民族によって合理的な行動規範が違うという事です。囚人のジレンマなどでの合理的行為も違ってくるでしょう。また、一方でよくよく考えると、これほど違うのであれば、中東和平への道はかなり遠い事を感じさせます。
2018年1月20日に日本でレビュー済み
海外と日本の学術書は、それぞれ説明のしかたに違いがあって、このような本は難しいのですが、ユニークな例を用いてくれてとても面白いと思いました。行動経済学の前進的な方だと思います。
2017年6月10日に日本でレビュー済み
著者のエヤル・ヴィンターは1959年生まれでイスラエルとドイツの国籍を持ち、エルサレムのヘブライ大学で数学、統計学、経済学を学び、ゲーム理論に関する研究で博士号を取得。ヨーロッパ大学院、セントルイス・ワシントン大学、マンチェスター大学などで正教授を歴任し、現在はレスター大学とヘブライ大学合理性研究センターの経済学教授を務めている。主たる研究分野はゲーム理論、行動経済学、実験経済学、契約理論で、論文は数多く発表しているが書籍に纏めたのは本書が初めてという研究者。
本書は感情がどの様にして利益をもたらすかをテーマにし、それをゲーム理論と進化論に観点から論じているが、自分にとって本書で面白かったのは、特に前半の囚人のジレンマ(「他人にしてもらいたいことをせよ」という黄金律)、最後通牒ゲーム(「お人好しに見られないようにする」との原則)等のゲーム理論の分野。今までなかなか良書に巡りあえず理解できなかったが、本書で腹に落ちた感じがします。著者の専門分野だけに、とても分かり易く記載されています。
本書は感情がどの様にして利益をもたらすかをテーマにし、それをゲーム理論と進化論に観点から論じているが、自分にとって本書で面白かったのは、特に前半の囚人のジレンマ(「他人にしてもらいたいことをせよ」という黄金律)、最後通牒ゲーム(「お人好しに見られないようにする」との原則)等のゲーム理論の分野。今までなかなか良書に巡りあえず理解できなかったが、本書で腹に落ちた感じがします。著者の専門分野だけに、とても分かり易く記載されています。