これは中華風ファンタジーには非ずして、世にも珍しい和製武侠小説の登場です。
キャラクターも面白い、筋立ても面白い。何より最後のほうの展開で起きる史実とのリンクで。あー! そうか! 普通はそっちじゃないのにそっちできたか! と思うよう、非常に面白かったのですが。なにがなし、若干惜しい感じが…… と言う気がしておりました。
敵役のキャラクター造詣が非常に秀逸なのですが、そのぶん、主人公側が割を食ってしまったと言うか。
こういう小説で主人公達が多かれ少なかれ持っている片意地のようなもの。行動が感情に訴えかける力が、主人公達にはどうにも弱い、と言う気がしてしまったのです。
どうしてあえてそうするのか? と言うか、なぜそこにこだわっていたのか? と言うところが、どうにもいまひとつ割り切れないところがある。かつ、そこまでしてこだわっていたはずのものが、話の途中でするっと抜けてしまったりもする。
そんなちょっとした惜しさは感じるものの、話の方向や思わせぶりな展開は続刊が楽しみになる筆の走り。続きが出たら是非また読ませていただきたいと思う和製武侠でありました。

無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
武侠三風剣 (徳間文庫) 文庫 – 2011/4/1
嬉野秋彦
(著)
親友を斬り、その妻を自害させた雪健……。五年後、雪健は元奴という盗人の少女を助けた。元奴は雪健の強さに惚れ込み、盗みに加担するように懇願するが彼は首を縦に振らない。やけになった元奴は一人で下見をしに行ってしまう。そんな元奴を心配して後を付ける雪健。そこは皇帝に献上する宝を運ぶ禁軍の宿舎。そこである人物が激しい戦いを繰り広げる。一人は最強の剣士・華風。もう一人は五年前、自害に追い込んだ翠雲によく似た女だった! !
- 本の長さ314ページ
- 言語日本語
- 出版社徳間書店
- 発売日2011/4/1
- ISBN-104198933405
- ISBN-13978-4198933401
この著者の人気タイトル
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
商品の説明
出版社からのコメント
左手には剣を、右手には過去の傷を、背には十字架を、胸には流せない涙を。本格中国武侠物語!
著者について
4月19日生まれ。東京都杉並区在住。94年、『皓月に白き虎の啼く』で、第3回集英社ファンタジーロマン大賞を受賞。
登録情報
- 出版社 : 徳間書店 (2011/4/1)
- 発売日 : 2011/4/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 314ページ
- ISBN-10 : 4198933405
- ISBN-13 : 978-4198933401
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,989,931位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 7,302位徳間文庫
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。

著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
カスタマーレビュー
星5つ中3.5つ
5つのうち3.5つ
3グローバルレーティング
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2015年2月10日に日本でレビュー済み
武侠小説ライトノベル風味。内容はけっこう重く、それでいて語り口は軽いタッチで物語がぽんぽん進んでいきます。「三風剣」のタイトルは、雪健、紅雲、華風先生なのかな。
主人公雪健は極端な巻き込まれ体質で、美少女元奴の盗人稼業に巻き込まれ、女剣士紅雲の仇討に巻き込まれ、方大人の反乱計画に巻き込まれて、自分から進んで何かをやっていることがほとんどなかったり。宝物目当ての小競り合いから史実の反乱事件の前哨戦へ、戦いのスケールはどんどん大きくなっていくのですが、物語のメインはあくまで雪健・紅雲の仇討なので、ぶれないといえばぶれない展開、悪くいったらこじんまりした印象です。
個々のシーンはたいへん面白く読めるんですが、全体を振り返ると何とも締まりがないという困った小説。最後の戦いも超人同士の対決という方向へは進んでいかず、数の暴力でぼろぼろの状態からどうやって悪玉をやっつけるか? という展開なので強敵感がどうしても不足してしまっています。
続編への色気を出したのか、作中最もキャラ立ちしている戦闘狂華風先生との決着がまさかのお預け。拍子抜けであります。いろんな意味で惜しい小説。
主人公雪健は極端な巻き込まれ体質で、美少女元奴の盗人稼業に巻き込まれ、女剣士紅雲の仇討に巻き込まれ、方大人の反乱計画に巻き込まれて、自分から進んで何かをやっていることがほとんどなかったり。宝物目当ての小競り合いから史実の反乱事件の前哨戦へ、戦いのスケールはどんどん大きくなっていくのですが、物語のメインはあくまで雪健・紅雲の仇討なので、ぶれないといえばぶれない展開、悪くいったらこじんまりした印象です。
個々のシーンはたいへん面白く読めるんですが、全体を振り返ると何とも締まりがないという困った小説。最後の戦いも超人同士の対決という方向へは進んでいかず、数の暴力でぼろぼろの状態からどうやって悪玉をやっつけるか? という展開なので強敵感がどうしても不足してしまっています。
続編への色気を出したのか、作中最もキャラ立ちしている戦闘狂華風先生との決着がまさかのお預け。拍子抜けであります。いろんな意味で惜しい小説。
2011年9月4日に日本でレビュー済み
この系統のものに飢えていたので読んでみましたが、ずいぶんと食い足りない印象。
物語の風景も剣戟シーンもどうにも小ぢんまりとしていて、ハッタリが利いてません
ちょろちょろするだけだったヒロインが実は――というオチが最後の最後で語られますが
後味が良くなるわけでもなく。作者としては歴史ネタの方をみっちり書きたかったのでしょうか?
もっと明快なチャンバラに徹してほしかったなーというのが正直な感想です。
物語の風景も剣戟シーンもどうにも小ぢんまりとしていて、ハッタリが利いてません
ちょろちょろするだけだったヒロインが実は――というオチが最後の最後で語られますが
後味が良くなるわけでもなく。作者としては歴史ネタの方をみっちり書きたかったのでしょうか?
もっと明快なチャンバラに徹してほしかったなーというのが正直な感想です。