タイトルから子どもを宝物のように大事に扱う伝統的社会の親子関係について書かれているのかと思ったら、その意味は子どもは将来 自分(親)の面倒をみてくれる資産であるということだった
日本ではあまり馴染まない価値観だが、それぞれの社会においてはちゃんと合理的な理由がある
伝統的社会の文化について平易の言葉で説明したこの本は私にとってジャレド・ダイアモンド氏の本よりとっつきやすく、とても興味深く最後まで読み切ることができた

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この子は俺の未来だ―パプアニューギニア&ケニア“つながり”の文化人類学 単行本 – 2014/7/1
馬場 淳
(著)
- 本の長さ239ページ
- 言語日本語
- 出版社佼成出版社
- 発売日2014/7/1
- ISBN-104333026598
- ISBN-13978-4333026593
登録情報
- 出版社 : 佼成出版社 (2014/7/1)
- 発売日 : 2014/7/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 239ページ
- ISBN-10 : 4333026598
- ISBN-13 : 978-4333026593
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,664,246位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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2014年9月1日に日本でレビュー済み
日本の育児の現場でよく言われる「世界にたった一人のお父さん・お母さん」
という言い回しは、果たして本当に正しいのか?
世界の育児と比較してみると、それらは日本だけの特異なメソッドであることに気づく。
著者は、パプアニューギニアとケニアの村落で、家族構成に関する調査を続けてきた
気鋭の文化人類学者。そして自身も実際に育児を体験した、日本のリアル「パパ世代」
でもある。
第一章では、パプアニューギニアを舞台に、現地の子どもたちが人生のステップに
あわせて自由に複数のパパ・ママ(親戚のオジ・オバにあたる)を選択し、育ててもらう
現場をレポート。それらの行為は単なる慈善活動や血縁の義務ではない。「野生の算術」
と呼ばれる、お互いの人生を通して結ばれるギブ・アンド・テイク(子ども本人が成長に
応じて、育ててもらった分の報酬を返していく)にもとづく関係である。
「親子の間に報酬を期待するなどあり得ない」と、日本では非難されるかもしれない。
しかし逆の目線からこうした関係をとらえるてみれるとどうなるか? 上記の異文化では
子どもを「親がいつまでも面倒を見なくてはならない存在」「手のかかるもの」として
認識しない。それどころか、子ども自体を幼い頃から「役に立つ存在」としてその存在を
認め、血縁の有無に関係なく(分けへだてなく)育てるという考え方が垣間見える。実に
対等で未来性のある育児方針と言える。将来にわたる子どもの「可能性」を、大人たちは
心から信じているのだ。
一方、第二章のケニア編では、部族の少年たちが割礼の試練とその恐怖を乗り越えて、
いかに部族のなかで一人前の戦士(=成人男性)として認められていくかを克明に描写
している。割礼を受ける少年たちへのインタビューは、読者に割礼の痛みや恐怖までも
実感させるほど、具体的に、近しい目線で語られている。アフリカの少年たちの姿を
これほど近くに感じられる描写も、フィールドワークの積み重ねがあってこそ。
このほか、ストリート・チルドレン、捨て子、未成年の使用人の生き方など、子どもに
まつわる多様なトピックを取り上げる。写真や図版で丁寧に説明を重ね、学問の世界を
より身近に読者に感じさせる工夫。それらを単なる異文化紹介で終わらせることなく、
最終章では日本の若いパパ&ママ世代から集めたQ&Aに対して文化人類学の視点から
回答するという面白い構成。日本の固着化した育児観念や思考をリセットし、より
柔軟に子どもと向き合おうとするひたむきな姿勢が、行間に垣間見えてくる。
タイトルが示す通り、子どもは親の(祖父母を含めた家族の)未来そのもの。自由に、
したたかに、さまざまな大人たちのあいだを縦横無尽に渡り歩く子どもたちの姿は
じつに豊かな生命力に満ちあふれている。
という言い回しは、果たして本当に正しいのか?
世界の育児と比較してみると、それらは日本だけの特異なメソッドであることに気づく。
著者は、パプアニューギニアとケニアの村落で、家族構成に関する調査を続けてきた
気鋭の文化人類学者。そして自身も実際に育児を体験した、日本のリアル「パパ世代」
でもある。
第一章では、パプアニューギニアを舞台に、現地の子どもたちが人生のステップに
あわせて自由に複数のパパ・ママ(親戚のオジ・オバにあたる)を選択し、育ててもらう
現場をレポート。それらの行為は単なる慈善活動や血縁の義務ではない。「野生の算術」
と呼ばれる、お互いの人生を通して結ばれるギブ・アンド・テイク(子ども本人が成長に
応じて、育ててもらった分の報酬を返していく)にもとづく関係である。
「親子の間に報酬を期待するなどあり得ない」と、日本では非難されるかもしれない。
しかし逆の目線からこうした関係をとらえるてみれるとどうなるか? 上記の異文化では
子どもを「親がいつまでも面倒を見なくてはならない存在」「手のかかるもの」として
認識しない。それどころか、子ども自体を幼い頃から「役に立つ存在」としてその存在を
認め、血縁の有無に関係なく(分けへだてなく)育てるという考え方が垣間見える。実に
対等で未来性のある育児方針と言える。将来にわたる子どもの「可能性」を、大人たちは
心から信じているのだ。
一方、第二章のケニア編では、部族の少年たちが割礼の試練とその恐怖を乗り越えて、
いかに部族のなかで一人前の戦士(=成人男性)として認められていくかを克明に描写
している。割礼を受ける少年たちへのインタビューは、読者に割礼の痛みや恐怖までも
実感させるほど、具体的に、近しい目線で語られている。アフリカの少年たちの姿を
これほど近くに感じられる描写も、フィールドワークの積み重ねがあってこそ。
このほか、ストリート・チルドレン、捨て子、未成年の使用人の生き方など、子どもに
まつわる多様なトピックを取り上げる。写真や図版で丁寧に説明を重ね、学問の世界を
より身近に読者に感じさせる工夫。それらを単なる異文化紹介で終わらせることなく、
最終章では日本の若いパパ&ママ世代から集めたQ&Aに対して文化人類学の視点から
回答するという面白い構成。日本の固着化した育児観念や思考をリセットし、より
柔軟に子どもと向き合おうとするひたむきな姿勢が、行間に垣間見えてくる。
タイトルが示す通り、子どもは親の(祖父母を含めた家族の)未来そのもの。自由に、
したたかに、さまざまな大人たちのあいだを縦横無尽に渡り歩く子どもたちの姿は
じつに豊かな生命力に満ちあふれている。