これは優れ本だ。1970年代のマネタリズムの台頭と80年代の事実によるその反証、90年代のテイラールールの普及とインフレターゲット論、資産バブルに対する金融政策の有効性の議論、バブル崩壊後の不況やデフレに対する量的緩和政策の有効性をめぐる議論、など過去四半世紀にわたる米国、日本、欧州の金融政策に関する主要な議論が実に分かり易く整理されている。
著者は日銀系エコノミストであるが、日銀の立場に拘泥することなく、実に真摯で公平な議論の整理が行なわれている。その例として「政府紙幣発行によるマネー増発でデフレ脱却」というオーソドックスな中央銀行の立場からは「異端の説」に対しても、頭から否定することなく論理的で公平な吟味を行なっている。増発された銀行券を使って「政府が需要をつくり出す・・・・結果として、インフレがもたらされることはほぼ確実と思える」と述べている(p258)。これは論理的な帰結だ。ただし、それがもたらす国債への信認の低下、財政規律の弛緩という副作用がより重大な問題であるため、現実の政策として採用は望ましくないとしている。しかしそれならば、財政規律を失わない縛りができるなら、やる価値があるということにもなろう。
ゼロ金利で量的緩和をやってもデフレ解消効果が出てこない状況下、それは定説通り、国債金利がゼロに近づけば、マネー(金利ゼロの政府・中銀債務)と国債の相違は極めて僅少となり、その結果、国債を買ってマネーを供給しても民間のポートフォリオ構成はほとんど変わらないので、効果もないということになる。ただし、マネーと性質の違うリスク性資産の購入を見返りにマネーを供給すれば、効果はあるということにもなる。
そこで中央銀行がどこまでリスクを負うことが許されるのかが問題となる。この点に対しては、中央銀行は政府の一部ではあるが、組織的に独立した運営が想定されているのだから、中央銀行の自己資本を棄損し、債務超過になったりしない範囲というのが著者の考えである。それならば、今日的な問題状況では、政府出資で中央銀行の自己資本を飛躍的に増加させ、より大胆な量的緩和、リスク性金融資産の購入によるマネー供給をするのも選択肢ではないか、と思った。
かつて日銀にデフレ回避のために「ケチャップを買ってでもマネーを供給すべきだ」と批判したバーナンキは、まさか本当に自分がケチャップの購入を検討する立場になるとは思っていなかっただろうなあ。
プライム無料体験をお試しいただけます
プライム無料体験で、この注文から無料配送特典をご利用いただけます。
非会員 | プライム会員 | |
---|---|---|
通常配送 | ¥410 - ¥450* | 無料 |
お急ぎ便 | ¥510 - ¥550 | |
お届け日時指定便 | ¥510 - ¥650 |
*Amazon.co.jp発送商品の注文額 ¥3,500以上は非会員も無料
無料体験はいつでもキャンセルできます。30日のプライム無料体験をぜひお試しください。
新品:
¥2,290¥2,290 税込
ポイント: 46pt
(2%)
無料お届け日:
3月31日 日曜日
発送元: Amazon 販売者: アイダ商会
新品:
¥2,290¥2,290 税込
ポイント: 46pt
(2%)
無料お届け日:
3月31日 日曜日
発送元: Amazon
販売者: アイダ商会
中古品: ¥40
中古品:
¥40

無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
ポスト・マネタリズムの金融政策 単行本 – 2011/6/1
翁 邦雄
(著)
{"desktop_buybox_group_1":[{"displayPrice":"¥2,290","priceAmount":2290.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"2,290","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"rNwOZK1FVGJI8b2%2F6rg49v%2B%2FTFv0u31ExAKT7zl0tSdhVR1%2Bklc5ZHNSxWpCLEvLKNOPbCJbnRDkkp%2BWElHcF%2FvDP0T4Mi40yJoRrSjMohhvwkea1XSDj%2FtVgY2QWLvcQQvQSVTPgyHCfB%2B2t6RULDZufsGsraJqyqc7EwPtU9CFYdJRGN7nhyTGCASmP9Ew","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"NEW","aapiBuyingOptionIndex":0}, {"displayPrice":"¥40","priceAmount":40.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"40","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"rNwOZK1FVGJI8b2%2F6rg49v%2B%2FTFv0u31EzxIYAfBtFmTh9EHIDKSaGhLdtr5FmhXidlWR577sJh2E44tHRQlNHYd2cWtC9TaHyZhK5s28o5UZLU3%2B8k4Q%2B%2Ba0zMgDsnU5a1xHjMOYewF%2BXQU8mRpHHBxAGf5y%2BYY95Rpf72d8H5gppOpQSFHX7g%3D%3D","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"USED","aapiBuyingOptionIndex":1}]}
購入オプションとあわせ買い
「失われた20年」以前に機能していたマネタリズム的金融政策に綻びが見え、それに代わる手法が模索されている。量的緩和やデフレ脱却の方策など新しい枠組みはどう運営されるかを金融政策のエキスパートが詳説する。
- ISBN-104532354684
- ISBN-13978-4532354688
- 版New
- 出版社日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
- 発売日2011/6/1
- 言語日本語
- 寸法13.5 x 2.7 x 19.5 cm
- 本の長さ286ページ
よく一緒に購入されている商品

対象商品: ポスト・マネタリズムの金融政策
¥2,290¥2,290
最短で3月31日 日曜日のお届け予定です
残り1点 ご注文はお早めに
¥2,530¥2,530
最短で3月31日 日曜日のお届け予定です
残り2点(入荷予定あり)
¥1,980¥1,980
最短で3月31日 日曜日のお届け予定です
残り3点(入荷予定あり)
総額:
当社の価格を見るには、これら商品をカートに追加してください。
ポイントの合計:
pt
もう一度お試しください
追加されました
一緒に購入する商品を選択してください。
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版; New版 (2011/6/1)
- 発売日 : 2011/6/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 286ページ
- ISBN-10 : 4532354684
- ISBN-13 : 978-4532354688
- 寸法 : 13.5 x 2.7 x 19.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 695,914位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 27,791位投資・金融・会社経営 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。

著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2011年7月18日に日本でレビュー済み
著者の主張は
・今後の平時の金融政策の枠組みは、インフレ目標政策にBIS viewを取り入れた、より柔軟でより広い範囲に目配りするインフレ目標的な戦略とすべき
というものであり、それはECBや日銀の取ってきた姿勢に近い、と言いたいのだろう。
具体的に言ってしまえば、インフレ率の低下の一方でバブルが生じているとき、中央銀行はデフレ阻止のみに焦点を絞るのではなく、時にはよりバブル阻止の方向に動くべきだということである。
ではデフレになってしまったらどうするのか?それが本書のもう一つのテーマだ。
著者の主張は
・中央銀行単独でのデフレ脱却は難しいが、政府がその気になれば(政治的に可能かどうかは別として)原理的には簡単
だというものだ。
しかし、著者は為替レート誘導やマネタイゼーションといった、中央銀行と政府の協力関係が必要なスタンダードな手段にはあまり賛同していない。そこには政治的に困難といった理由や政府への不信があるように思われる。
そこで著者が持ち出すのは、それらよりもはるかに政治的に困難だと思われる方策である。その方策とは、消費税引き上げによって物価水準を持続的に引き上げること、あるいは増税しながら財政支出を拡大することで債務残高を増加させずに需要を作り出すこと、またはその両方の組み合わせだ。
これらの方策に関しては、著者は「政治的な実現可能性は別として」と断りを入れている。だが、どの手段をとっても政治的に簡単ではないとしても、それならばどの手段がもっとも良いのか?私には本書にその主張が書かれているとは思えなかった。
結局この本に書いてあることは、マネタリズムをあらためて否定することで貨幣数量説を背景にした量的緩和論を否定し、デフレ脱却に対する責任は政府にあるという主張である。日銀エコノミストにしては進歩的なことを言ってたりもするが、やはり日銀エコノミストの本である。
・今後の平時の金融政策の枠組みは、インフレ目標政策にBIS viewを取り入れた、より柔軟でより広い範囲に目配りするインフレ目標的な戦略とすべき
というものであり、それはECBや日銀の取ってきた姿勢に近い、と言いたいのだろう。
具体的に言ってしまえば、インフレ率の低下の一方でバブルが生じているとき、中央銀行はデフレ阻止のみに焦点を絞るのではなく、時にはよりバブル阻止の方向に動くべきだということである。
ではデフレになってしまったらどうするのか?それが本書のもう一つのテーマだ。
著者の主張は
・中央銀行単独でのデフレ脱却は難しいが、政府がその気になれば(政治的に可能かどうかは別として)原理的には簡単
だというものだ。
しかし、著者は為替レート誘導やマネタイゼーションといった、中央銀行と政府の協力関係が必要なスタンダードな手段にはあまり賛同していない。そこには政治的に困難といった理由や政府への不信があるように思われる。
そこで著者が持ち出すのは、それらよりもはるかに政治的に困難だと思われる方策である。その方策とは、消費税引き上げによって物価水準を持続的に引き上げること、あるいは増税しながら財政支出を拡大することで債務残高を増加させずに需要を作り出すこと、またはその両方の組み合わせだ。
これらの方策に関しては、著者は「政治的な実現可能性は別として」と断りを入れている。だが、どの手段をとっても政治的に簡単ではないとしても、それならばどの手段がもっとも良いのか?私には本書にその主張が書かれているとは思えなかった。
結局この本に書いてあることは、マネタリズムをあらためて否定することで貨幣数量説を背景にした量的緩和論を否定し、デフレ脱却に対する責任は政府にあるという主張である。日銀エコノミストにしては進歩的なことを言ってたりもするが、やはり日銀エコノミストの本である。
2012年2月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
為替介入による景気回復について
F・S・ミシュキン教授「金融政策論議の争点」p479
Lars.E.O.Svensson「ポスト・マネタリズムの金融政策」p251
上記はいずれも両氏の説が引用されているだけだが、引用者である新保生二氏と翁邦雄氏のコメントがある。
為替介入による景気回復の「トランスミッション・メカニズム」が示唆されている。
円高デフレを解消する強力な理論である。
為替介入に対する無効説
野口悠紀雄「日本を破滅から救うための経済学」第6章p222以降
ここでは円高についての著者の「評価」が述べられている。
輸出企業が困るだけ・・・とのことだ。以下強烈な違和感を覚える説である。
佐々木融「弱い日本の強い円」第3章p79長期的な為替相場変動の要因
著者は円高の長期トレンドを円の購買力平価の上昇、すなわち物価の低下によって説明しているが、これは原因と結果を取り違えている。
第8章 介入で「円安誘導」などできない
としているのだが、これに対しては「現実経済における反証例」がある。
韓国と中国は介入をやってきている。「これらの国と比べて」日本が出来ないのは何故なのか、何故これらの国ができるのか?
日本が出来ないのは為政者とそのスタッフの頭が韓国中国のそれより劣るからだ、としか思えない。
F・S・ミシュキン教授「金融政策論議の争点」p479
Lars.E.O.Svensson「ポスト・マネタリズムの金融政策」p251
上記はいずれも両氏の説が引用されているだけだが、引用者である新保生二氏と翁邦雄氏のコメントがある。
為替介入による景気回復の「トランスミッション・メカニズム」が示唆されている。
円高デフレを解消する強力な理論である。
為替介入に対する無効説
野口悠紀雄「日本を破滅から救うための経済学」第6章p222以降
ここでは円高についての著者の「評価」が述べられている。
輸出企業が困るだけ・・・とのことだ。以下強烈な違和感を覚える説である。
佐々木融「弱い日本の強い円」第3章p79長期的な為替相場変動の要因
著者は円高の長期トレンドを円の購買力平価の上昇、すなわち物価の低下によって説明しているが、これは原因と結果を取り違えている。
第8章 介入で「円安誘導」などできない
としているのだが、これに対しては「現実経済における反証例」がある。
韓国と中国は介入をやってきている。「これらの国と比べて」日本が出来ないのは何故なのか、何故これらの国ができるのか?
日本が出来ないのは為政者とそのスタッフの頭が韓国中国のそれより劣るからだ、としか思えない。
2011年7月25日に日本でレビュー済み
元日銀金融研究所長の書いた金融政策論。本書の特徴は
80年代以降の日銀の金融政策については外(米国)中(浜田教授)からの批判が強いが
・日銀当局者はこれらに反論しているが立場上の制約もあるのか論点や反論のポイントが分かりにくい。しかしこの本は極めて明快である。OBの立場ゆえだろう
・金融政策は金融政策の技術的な面も合わせて理解しないとなかなか理解が難しい。また政策をめぐる論争でも何が焦点になっているのか、この技術面をよく理解しないと理解が難しいことが多い。このような技術的な事柄についても浜田教授の避難に対する準備預金への付利の指摘等本書は明快である。
・最近の金融政策の変遷が、金利を用いた時代⇒貨幣量を用いた時代⇒インフレ目標のもと金利を用いた時代⇒今回の金融危機による金融政策の見直し明快に説明されている
・特に著者が力点を入れているのが最近のFRBの金融政策の考え方とこれに対する批判である。FEDビューとBISビューという形で簡潔に整理され、これにFRBの日銀批判、これに対する著者の反批判が絡められているので最近の金融政策史として読んでも実に生々しくかつ頭の整理には格好のものである。本書により危機後の金融政策のあり方に関する論議への理解が進むことが期待される。
・疑問に思うのは本書によれば日銀は80年代のバブルも90年以降のデフレも防げなかったと読めること。0金利解除についても当時の総裁の「個人的執着」に重点が置いて書かれている。この点に杖いては当時の論争も紹介しつつ日銀の政策の可能性についても触れるべきと思う
・逆に著者がこの点の確信が変わっていないと本著を読めば、日銀の理論的なバックボーンが平易に解説されているので今後の論争に格好の材料を提供しているとの解釈もできる
・いずれにせよ快書。最近下火になっている(デフレの「均衡化」で論者は飽きた?)日銀の政策論争が再度活性化するよいきっかけになると思う。
80年代以降の日銀の金融政策については外(米国)中(浜田教授)からの批判が強いが
・日銀当局者はこれらに反論しているが立場上の制約もあるのか論点や反論のポイントが分かりにくい。しかしこの本は極めて明快である。OBの立場ゆえだろう
・金融政策は金融政策の技術的な面も合わせて理解しないとなかなか理解が難しい。また政策をめぐる論争でも何が焦点になっているのか、この技術面をよく理解しないと理解が難しいことが多い。このような技術的な事柄についても浜田教授の避難に対する準備預金への付利の指摘等本書は明快である。
・最近の金融政策の変遷が、金利を用いた時代⇒貨幣量を用いた時代⇒インフレ目標のもと金利を用いた時代⇒今回の金融危機による金融政策の見直し明快に説明されている
・特に著者が力点を入れているのが最近のFRBの金融政策の考え方とこれに対する批判である。FEDビューとBISビューという形で簡潔に整理され、これにFRBの日銀批判、これに対する著者の反批判が絡められているので最近の金融政策史として読んでも実に生々しくかつ頭の整理には格好のものである。本書により危機後の金融政策のあり方に関する論議への理解が進むことが期待される。
・疑問に思うのは本書によれば日銀は80年代のバブルも90年以降のデフレも防げなかったと読めること。0金利解除についても当時の総裁の「個人的執着」に重点が置いて書かれている。この点に杖いては当時の論争も紹介しつつ日銀の政策の可能性についても触れるべきと思う
・逆に著者がこの点の確信が変わっていないと本著を読めば、日銀の理論的なバックボーンが平易に解説されているので今後の論争に格好の材料を提供しているとの解釈もできる
・いずれにせよ快書。最近下火になっている(デフレの「均衡化」で論者は飽きた?)日銀の政策論争が再度活性化するよいきっかけになると思う。
2011年8月29日に日本でレビュー済み
著者の翁氏は言わずと知れた岩田規久男教授の好敵手(?)、「日銀理論」の守護神である。日銀入行は現日銀総裁の白川氏の2つ下で、同じシカゴ大学経済学部に留学し、博士号を取得している。記者会見等で露出の多い現総裁と比べ、氏自身のキャラクターは文章から推し量るしかないが、この本を読み進めていくと理論家肌で強気なエコノミストの自信がビンビン伝わってくる。ややもすれば「教科書」とも揶揄される白川本と比べ、論点を絞りページ数も抑えられ非常に読みやすくなっている。一方でかつて日銀の看板を掛けて闘争を繰り広げた論客だけあって文章の鋭さはこちらが数段優っているといえる。前半の理論面に比べ、後半にかけての日本経済への悲観的な見方については納得しかねる部分もあるが、現時点の日銀行内のコンセンサスというか空気というようなものを感じ取れることができる点も有益であるといえる。兎にも角にも日銀ウォッチャーあるいはマクロ経済政策に一家言あるという方は手にとって損はない。できれば、現職のマクロ経済学者にも手に取っていただき批判的な観点から読み込んでいただきたいと思う。
2012年3月13日に日本でレビュー済み
小生のTwitterないしFacebookで知り合っている金融クラスタの方々の評価が、著しく高い書。
私自身は実生活でこのような金融政策に絡む仕事をしているわけではないので、そうなのかと感心しながら読むだけになってしまうが、そのような素人にとって本書の最終章はなかなか興味深い内容だと思う。読んでのお楽しみということにしておくが、最終章はデフレ脱却への方策となっており、マイナス金利であるとか政府紙幣などの「思考実験」とそれらについての著者の見解が述べられており面白い。
私自身は実生活でこのような金融政策に絡む仕事をしているわけではないので、そうなのかと感心しながら読むだけになってしまうが、そのような素人にとって本書の最終章はなかなか興味深い内容だと思う。読んでのお楽しみということにしておくが、最終章はデフレ脱却への方策となっており、マイナス金利であるとか政府紙幣などの「思考実験」とそれらについての著者の見解が述べられており面白い。
2020年5月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
彼の大天才の自由至上主義者であるミルトン・フリードマンのマネーサプライで経済成長をコントロールするという、Kパーセントルールは2010年の時点で既に時代遅れのものになっていたんですね。フリードマンも「資本主義と自由」の中でいつまでも Kパーセントルールが通用するとは自身を考えていないとおっしゃっていましたが、浦島太郎のような心境です。マクロ経済学の中でのイデオロギー対立は、現代オーストリア学派とマルクス経済学以外の中では、全く無くなり、モデレート・ケインジアン、つまり新ケインズ主義に統一されていたのでした。しかし、現代オーストリア学派の未来的な自由至上主義による独自の政治経済理論の究明が進めば、また大きく変わるかもしれない、などと考えさせられながら読んでいました。でも、やっぱり、経済学は、貧困の究極的解決が、1番の大問題ですよ。