商業ベースの小説を書く時、必ず越えなければならない壁がある。
編集者の目である。
編集者はその小説の最初の読者であり、
その作品の一番の理解者であり、
その小説を世に送り出すためのプロデューサーでもある。
どれだけ満足のゆく小説が書けたとしても、
編集者の壁をクリアできなければ、その作品は日の目をみない。
では一体、編集者はどのような目で小説を読むのであろうか。
世の中には、多くの小説指南書がある。
そのほとんどは、小説家によって書かれたものである。
本書が他の小説指南書と大きく異なるのは、著者が元文芸誌の編集者である点に尽きるであろう。
著者は、『海燕』、『野生時代』の編集長を務めており、
島田雅彦、よしもとばなな、小川洋子、角田光代をはじめ、
現代を代表する作家のデビューに携わった人物である。
現在はカルチャーセンターなどで小説講座を担当しており、今なお、
多くの新人作家を輩出しているという。
本書の中では、小説家を目指すための具体的な方法や小説の書き方はもちろん、
小説の読み方についても解説がなされている。
村上春樹の『海辺のカフカ』、小川洋子の『博士の愛した数式』など、
具体的な作品を例に挙げ、テーマやモチーフなどについて独自の見解が記されているのである。
この読み方こそが、編集者の目である。
編集者は小説をどのように読み、どのような解釈を行うのか。
編集者の目で読んだ時、自作の小説は果たしてどのような作品に映るのか。
少なくとも私は、編集者の読み方を知ることで、小説の読み方が変わった。
結果的に、より深く小説を味わえるようになり、読書の新しい楽しみを知ることができた。
『[実践]小説教室』は、小説を書きたい人にも、小説を読むことが好きな人にも、
読みごたえのある一冊となることは間違いない。

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[実践]小説教室: 伝える、揺さぶる基本メソッド (PHP新書 878) 新書 – 2013/8/13
根本 昌夫
(著)
よしもとばなな氏、小川洋子氏、角田光代氏のデビューに文芸誌編集長として立ち会った著者。職を辞した現在も大学、カルチャーセンターにて「小説の書き方」を教える著者による実践講座。実際に著者が受け持つ講座では、新人賞を受賞する作家も生まれている。
本書では、執筆テーマの決め方、全体の設計図の描き方、魅力的な書き出しとは、人称をどうするか、いきいきとした会話文にするためには、など具体的に伝授される。また、著者は、美しい小説と正しい日本語は異なる、と言う。いい小説を書くためには、間口を広げてたくさんの書物を読むこともすすめる。
他に具体例を挙げと、◎「分岐点」や「危機」がテーマになる ◎いい小説には構造と重層性がある ◎小説には四種類の読みと四回の読み ◎いい小説はいろいろな顔をもつ等々
小説家デビューしたい人はもちろん、人の心を動かす文章を学びたい人などは必読の一冊!
本書では、執筆テーマの決め方、全体の設計図の描き方、魅力的な書き出しとは、人称をどうするか、いきいきとした会話文にするためには、など具体的に伝授される。また、著者は、美しい小説と正しい日本語は異なる、と言う。いい小説を書くためには、間口を広げてたくさんの書物を読むこともすすめる。
他に具体例を挙げと、◎「分岐点」や「危機」がテーマになる ◎いい小説には構造と重層性がある ◎小説には四種類の読みと四回の読み ◎いい小説はいろいろな顔をもつ等々
小説家デビューしたい人はもちろん、人の心を動かす文章を学びたい人などは必読の一冊!
- 本の長さ257ページ
- 言語日本語
- 出版社PHP研究所
- 発売日2013/8/13
- ISBN-104569813879
- ISBN-13978-4569813875
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商品の説明
著者について
文芸編集者
登録情報
- 出版社 : PHP研究所 (2013/8/13)
- 発売日 : 2013/8/13
- 言語 : 日本語
- 新書 : 257ページ
- ISBN-10 : 4569813879
- ISBN-13 : 978-4569813875
- Amazon 売れ筋ランキング: - 525,740位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2013年11月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
要点を押さえて書くコツなど、わかりやすく表示されていて、勉強になりました。
2019年10月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
良きアウトプットの為のインプットにマルクスを薦めてる箇所あったり古めな小説を薦めたり、好みが別れそうな小説の書き方指南本。全体的には良いと私は思うが、何でもハウツー的なものは全部を全部受け入れる必要は無いかな、と参考には3〜4割程度なりました。
2017年6月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
小説の書き方の手順をもっと詳しく知りたかった。実際のプロットの組み立て方などという小説の仕組みづくりの話をもっと聞きたかった。
2013年8月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
誰もが小説家になれるわけではない。
存在する小説家すべてが価値ある存在であるわけでもない。
しかし、従来の書籍が電子版に席巻される日が来ても
「小説家」はこの世に存在するであろう。
だから、ある人々は小説家をめざす。
本書はいわゆる「作家」が”指南”する、小説を書きたい人向けの本とは一味違う。
内容は奥深く、禅問答のようでもある。
したがって読み終わった翌日から「小説家」になれるというわけでもない。
とはいえ、読書か好きな人が読むと、たとえ小説が書けなくても
「最高の読者」になることもまた善し、と思える、小説への愛が詰まった一冊である。
存在する小説家すべてが価値ある存在であるわけでもない。
しかし、従来の書籍が電子版に席巻される日が来ても
「小説家」はこの世に存在するであろう。
だから、ある人々は小説家をめざす。
本書はいわゆる「作家」が”指南”する、小説を書きたい人向けの本とは一味違う。
内容は奥深く、禅問答のようでもある。
したがって読み終わった翌日から「小説家」になれるというわけでもない。
とはいえ、読書か好きな人が読むと、たとえ小説が書けなくても
「最高の読者」になることもまた善し、と思える、小説への愛が詰まった一冊である。
2013年9月1日に日本でレビュー済み
昭和の終わり頃から、平成八年にかけて、14年という短い期間にどれだけ多くの有為な作家を輩出したのだろう。
干刈あがた、島田雅彦、小林恭二、佐伯一麦、吉本ばなな、小川洋子、石黒達昌、角田光代、松村栄子、野中柊、小手鞠るい、藤野千夜らを世に出したのだ。
ポストモダン文学がもてはやされていた時期だが、そうした風潮を無視もせず、流されもせず、淡々と才能と将来性を見据えて、世に送り出していたように思う。
本書の著者は、この伝説の文芸雑誌「海燕」の第三代編集長だった人だ。「海燕」の創刊編集長の寺田博の一番弟子である。この寺田と根本による新人教育が「海燕」の奇跡の14年を作ったのだ。
その、<原稿を読む目>の一端が本書で明かされている。
「優れた小説は重層的である」「優れた小説の冒頭は優れているし、冒頭がキマるといい小説になる」「テーマの据え方」「視点の置き方」「人称の問題」「リアリティの問題」等々、小説を書く上で重要な問題を取り上げて説明してくれている。このように書くと、「純文学作品の書き方」のレクチャー本のように見えるが、エンタテインメント小説のポイントにも触れてくれている。「キャラクター」「ふたつのストーリー」「複数の小説的現在」などなど。この著者は、「海燕」が休刊となった後、角川書店に引き抜かれ、「野性時代」の編集長も務めていたのだ。エンタテインメントのプロでもあるのだった。
実際、小説を書く人のためのアドバイスをしている本であるわけだが、しかし、実は、作家志望者よりも、文芸編集者と文芸編集志望者に読んで欲しい内容にもなっている。一流の編集者の小説の読み方が提示されている本でもあるのだ。
中に、短いエッセイの使用前使用後が具体例として掲出されているが、この作品が適当な素材であったのだろうかという疑問が残った。そこの一点において★をひとつ減らした。それ以外は、巻末の角田光代さんとの対談も含めて、大変勉強になる本であることは間違いない。
干刈あがた、島田雅彦、小林恭二、佐伯一麦、吉本ばなな、小川洋子、石黒達昌、角田光代、松村栄子、野中柊、小手鞠るい、藤野千夜らを世に出したのだ。
ポストモダン文学がもてはやされていた時期だが、そうした風潮を無視もせず、流されもせず、淡々と才能と将来性を見据えて、世に送り出していたように思う。
本書の著者は、この伝説の文芸雑誌「海燕」の第三代編集長だった人だ。「海燕」の創刊編集長の寺田博の一番弟子である。この寺田と根本による新人教育が「海燕」の奇跡の14年を作ったのだ。
その、<原稿を読む目>の一端が本書で明かされている。
「優れた小説は重層的である」「優れた小説の冒頭は優れているし、冒頭がキマるといい小説になる」「テーマの据え方」「視点の置き方」「人称の問題」「リアリティの問題」等々、小説を書く上で重要な問題を取り上げて説明してくれている。このように書くと、「純文学作品の書き方」のレクチャー本のように見えるが、エンタテインメント小説のポイントにも触れてくれている。「キャラクター」「ふたつのストーリー」「複数の小説的現在」などなど。この著者は、「海燕」が休刊となった後、角川書店に引き抜かれ、「野性時代」の編集長も務めていたのだ。エンタテインメントのプロでもあるのだった。
実際、小説を書く人のためのアドバイスをしている本であるわけだが、しかし、実は、作家志望者よりも、文芸編集者と文芸編集志望者に読んで欲しい内容にもなっている。一流の編集者の小説の読み方が提示されている本でもあるのだ。
中に、短いエッセイの使用前使用後が具体例として掲出されているが、この作品が適当な素材であったのだろうかという疑問が残った。そこの一点において★をひとつ減らした。それ以外は、巻末の角田光代さんとの対談も含めて、大変勉強になる本であることは間違いない。
2013年10月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
はじめっからさほど期待してはいなかったけど、『小説家になるには多くの小説を読んで、書く』『絶対にあきらめない』とか今までどっかで聞いたことがあるようなことが書かれてあった、まあ、仕方ないのか。
まあ、それでも拾える、部分はありましたが、ひとつ気になる点が。
『SFを書くにもゼロから宇宙を作りだすような想像力は必要ない』
要は、小説を書くのに、すごい才能や体験は必要がない、っと言っているのに、いざ、小説を書こうという話になったときに、
『SFを書くにも、卓越したアイディアと天才的な発想で、架空の世界を創りあげなければなりません』
っと、言っている。
矛盾してないかい?
まあ、それでも拾える、部分はありましたが、ひとつ気になる点が。
『SFを書くにもゼロから宇宙を作りだすような想像力は必要ない』
要は、小説を書くのに、すごい才能や体験は必要がない、っと言っているのに、いざ、小説を書こうという話になったときに、
『SFを書くにも、卓越したアイディアと天才的な発想で、架空の世界を創りあげなければなりません』
っと、言っている。
矛盾してないかい?
2017年5月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
名著の紹介だけで読み価値なし。自分では、何も書けないから元編集者なんだろう。