たった今、視聴し終えました。あまりの感動に言葉もありません。これこそが第9!これこそが朝比奈/大フィル! 恰幅があり、勇壮で、気高いことこの上ない、素晴らしい第9でした。ホールで生で観てたら私もスタンディングベーションでブラボーと叫んでいたでしょう。何回も。心の底からの、ありったけの賛辞を込めて。
朝比奈先生に、大フィルに、大フィル合唱団に心からブラボーを送ります。本当によくやってくれました。心からお礼を申し上げたい。
私は朝比奈先生の熱烈なファンゆえ、1986年のN響との「第9」のDVDも、大フィルのそれと共に同時購入して聴き比べてみました。
大フィル盤は1999年の演奏。約10年の開きがあるせいか、時代が近い分画質、音質共にこちらが優れています。
演奏内容はどちらも甲乙付けがたい名演。精緻なN響、熱気の大フィルといった印象ですかね。
これはブルックナーの第8をN響盤、大フィル盤のCD、DVDを聴き比べた時にも感じた事です。第9は、遅いテンポのN響に対して、大フィル盤はそれに比べやや速く、フィナーレのアッチェレランドのかけ方は指揮・演奏共に興に乗った感があり、こちらの方がより熱さを感じます。
大フィル盤は演奏終了後、朝比奈先生がステージ袖に引き上げる場面で終了してますが、N響盤はアンコールの拍手に何度も呼び戻され、独唱のソリストたちと共に改めて聴衆の歓喜に応えるところまでを映し出しています。
私の主観では、独唱のソリストは大フィル盤に軍配を挙げたいと思います。合唱団はどちらも秀逸。素晴らしいですね。
繰返しますが、どちらも名演です。両方持っていても損はありません。いや、私に言わせれば両方持つべきでしょう。少なくとも朝比奈先生の信望者であるなら。
このディスクのレビューを書かれた「なかたん」さんの奥様がこのDVDを観るたびに泣いてしまうとのことでしたが、私も同感です。
N響盤から約10年を経たこの大フィル盤、この時朝比奈先生は御年93歳!手兵大フィルを率いての演奏だったせいもあるかもしれませんが、N響盤より元気がいいじゃないですか。大フィルも朝比奈先生の意図を十全に理解し、熱気溢れる演奏をしています。両者にとって会心の出来だったのではと推測します。
朝比奈先生がフィナーレの最後の一音を降り下ろし、この「ベートーベン交響曲第9番」の終演を惜しむかのように左腕を宙に振り上げた瞬間、私の涙腺は崩壊しました。