全身の筋肉が少しずつ萎縮し、やがては、呼吸筋や心筋なども及ぶために人工呼吸器の装着が必要となる筋ジストロフィーにはデュシエンヌ型・ベッカー型などいくつかのタイプがあり、タイプにより症状も変わるが、ここでは、発病する人が最も多く、しかも症状も重いデュシエンヌ型筋ジストロフィーをみていく。 上浩司さんは、6歳の時にデュシェンヌ型筋ジストロフィーと診断され12歳から10年間入院生活を送り、家に帰ってきたが、その1年後に呼吸困難になり人工呼吸器を装着し、母親を中心とした両親の介護とホームヘルパーなどの支援の元で生活している。上さんは、脊柱や関節に変形があらわれ、手足の可動域が大幅に制限されているだけでなく、全身に拘縮がみられる。ここでのホームヘルパーの仕事は朝の整容、衣類の着脱、食事の介助、排泄の介助、清潔の保持といった身体介護が中心。人工呼吸器を装着している場合には気管切開をしているため構音障害も出現する。コミュニケーションの方法や、日々、命と向きあって暮らしている上さんとってのコミュニケーションの意味とその大切さについても考える。上さんはまた、大ファンの巨人軍を応援するミニコミ誌『それいけジャイアンツ』をホームぺージ上に掲載し、玄人はだしのデーター収集と解説をしている。それは、上さんの何よりもの生きがいであり制約された生活に充実感と生きる喜びを与えている。 ホームヘルパーは上さんの生命により添う伴走者として『今』を生きる上さんの自己実現にむけても大切な役割を果たしている。 監修:京都女子大学家政学部 教 授 井上 千津子 助教授 田中 由紀子 助教授 山田 健司 文部科学省選定 教育映画祭優秀作品賞