恐らく私の生涯の中で一番観た映画であろう、あのコマンドーを
ロシアでリメイクという、冷戦下であった当時では考えられなかった
夢の実現。
その内容はというと、意外と再現度高いです。
原作にもあったシーンはもちろん、一部セリフまで再現してるという
コマンドーファンにはニヤリとするようなシーンも多々あり、
また本作独自のアレンジも随所に見られ、ただのリメイクに終わらない
ところが、楽しめました。
しかし、見た目で原作に劣るのは仕方ないとしても、
所々明らかにふざけてるシーンや、場違いなBGM。緊張感あるシーンなら
むしろ無音にして欲しいのに、チープなBGMでぶち壊し。
所々カッコいいのもありますが、ハッピーエンドなのにエンディングは
暗くて重厚だし、原作は全編シリアスに徹していたからこそ、
滲み出るジョーク(明らかに吹き替え版の悪ふざけ)がクールだったのに、
ロシアンジョークなのか知らないですけど、チープで下品。
また、低予算ならではのツッコミどころ満載で、特にラストの娘を
人質にしたあとのあの装置はふざけすぎ(いつ準備したんだ?)とか、
ロシアンベネット(仮)のラストもふざけすぎ(というかお金好きという時点で
もはやベネットではないが)だし。
役所としては、ロシアンベネット(仮)はベネットとクックを足した感じ。
(ロシアンクック(仮)はモーテルにしか出てこないのでほぼクック要素皆無)
ロシアンサリー(仮)はナンパ男というよりただの薬中化されており、
余った尺は全部もらっちゃいましたと言わんばかりに無駄に尺が多いのか意味不明。
代わりにロシアンシンディ(仮)は超美人で、登場時のカッコよさはどこへやら、
出てきて数分後のデフォルメ具合の酷さには、往年の浅野温子を彷彿とさせる
女優魂を感じました。(いい意味で)
しかし、彼女が何故にロシアンメイトリックス(仮)を信頼するようになったかが雑。
原作ではメイトリックスが信用しきれないシンディは一旦彼を裏切るも、
サリーの変わり様や、メイトリックスが殺されそうになるのを助けた成り行きで
巻き込まれるも、真摯に説明するメイトリックスとの信頼関係があったりと
ちゃんと描かれてたのに…。
また、世界一コマンドーを愛する国・日本を意識しているシーンが随所に見られ、
北野武やプレステが台詞に出てきたり、娘の世話係が和服を来てたり、
待ち合わせてる部下がPSPやってたり、戦いの舞台が「あの島」だったり、
そしてアジア系の仲間もいるんですが、出番が少ないわりに存在感ある役どころで、
「実はこいつがロシアンベネット(仮)なのか?」と思わせときながら
結局何のために出てきたのかよくわからないあっけない最期だし、
(恐らく「温かいバター」のポジションだったのだろうか?)
アメリカよりも日本を意識していたのではないかと伺えますが、
レンタル落ちでしか市場に出回ってないなんて何とも皮肉な…。
しかし、主役の吹き替えが内海会長という豪華なキャスティングは必見。