以前から指摘しているように、このシリーズの小冊子の記述はツメが甘い。
(横溝正史は)山野三五郎名義で翻訳した海外小説を「新青年」に毎号のように掲載していた。
とあるが、これは間違いである。
おそらく中島河太郎作の「日本推理小説史」2巻からの引用だろうが、同じ中島河太郎が書いた角川文庫「空蝉処女」の解説には、
主人公の山野三五郎の名を用いた翻訳が、昭和二、三年の「新青年」に登載されているが、フランス物が多いから、この名を借りての水谷準の仕事だろうと推測している。
と書かれている。
「山野三五郎」とは、大正15年に横溝正史が書いた「帰れるお類」の主人公の名前である。
このため、中島河太郎本人も一度は、山野三五郎名義の翻訳物を横溝正史訳と判断したのだろうが、それを裏付ける資料は見つかっていない。
少しは、裏付けを取ってから、執筆すればどうかと思う。
原作の「黒猫亭事件」は、文庫本で130ページほどの中編である。
今回はそれを全2回、いわゆる2時間ドラマとして作られた作品である。
原作は非公式型の「顔のない死体」に挑戦した作品だが、公式をひねるためだけのトリックという感じがする。
(同じトリックを再利用した映画にもなった某作品はうまくできているが。)
犯人がミエミエでも、公式型の「真珠郎」のほうが私には面白い。
ドラマはトリックよりも愛憎劇にポイントが置かれている。
原作では、犯人は自殺してしまうが、ドラマでは死なずに逮捕される。
牢屋で歌を口ずさむ犯人が切なくてなかなかいい。
太地喜和子演じるお繁の寂しそうで捨て鉢で愛しくなるような悪女っぷりがいい。
池田秀一(シャアの声優)が演じるお繁に振り回されっぱなしの一途な僧、日兆もいい。

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横溝正史&金田一耕助シリーズDVDコレクション全国版(20) 2015年 11/22 号 [雑誌] 雑誌 – 2015/11/10
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